質問を投げかける
経営幹部の育成のために、あなたはどう良い道筋をつけていますか?
とにかく、正しい質問をすること
私の体験です。「農耕型企業風土」づくりの経営路線を通じてある会社を建て直し、会社を成長・発展させることに成功しました。この時に実際に指導・採用した施策を本年書いた本で「フォ-ミュラ」と「18の定石」として纏めました(「これからの課長の仕事」「これからの社長の仕事」特設サイト)が、私は幹部育成の一環として、この本に記載した「18の定石」の説明の中で使った言葉を少しモディファイして、経営幹部に質問を投げかける方法をとることにしています。
この質問は大くくりに纏めると、顧客のファン化について、社員の幸せや成長実現について、サービスのデザイニングについて、経営者の理念の内容と覚悟について、チームの中での個人の成長についてのモラール・マネジメント等など、となりますが、「18の定石」が実現されるように質問する側が正しい質問をすることを心がけています。
自分自身やチームで回答をみつける
質問を投げかけるというこの方法の利点は、答える方が考えざるを得ないという点にあります。答える側で思考のプロセスを楽しめると同時に、回答のプロセスを通じて仕事の面白さや仕事に対する愛着心を抱くことにも通じます。
考え考え抜いていきますと、相手の良い意見に気づいたり、自分の知識の足りなさの限界にも気づきます。また、考え方を狭く取ると答えが発展的でなくなるので、もっと広がりを持った発想の必要性にも気づきます。
思考や発想の広がりの必要性は、皆頭の中では分かっているかもしれませんが、私の場合はこれを具体的に考え活用する機会を社員に提供していくことで、幹部社員の成長を促進していくものです。
私の例です。「サービスのデザインイング」について質問をすると彼らは、最初は難しそうな反応を示します。しかし、会社内の論理から消費者や利用者の論理に関することを質問すると、彼らは顧客に対するサービス導線の思考と行動の重要性にすぐ気づきます。気づいたサービス導線をチームで議論していく過程で個別顧客に対応でき、かつ広がりのあるオリジナルな導線を皆でみつけ大喜びをしている場面を見ました。他の部門では実行していたが、それを上手くカスタマイズした修正サービス導線を捜しあてたりすることで、そのチームが「わくわく元気」になったことも見てきました。それほど、正しい質問をすることは効果のあるやり方でした。
最後は信頼関係
信頼というと信用とは少しニュアンスが違います。
信用と違い信頼は、内容の善悪の判断は別にしても「あの人の言うことなら」、「あの人の恩義に報いたい」などの文言で表現されるように、信頼の関係はその人とある種の無条件な依存関係をつくることになります。
これは、私が『これからの社長の仕事』の定石11の「チーム」や「公」に貢献する、の項(P114)で、
- 皆さん一緒に仲良くしましょうね
- 仲間外れをつくらないようにしましょうね
- 悪いことをしたら謝りましょう
- 困った人がいたら助けてあげましょう
と幼稚園の先生が園児に徹底する言葉を紹介しましたが、こうしないと相手からの信頼を得られないのではないでしょうか。子供の世界だけでなく大人の世界でも同様です。園児に向けたこれらの言葉を、大人用に言い換えれば、チームを大事にする、相手に敬意を払う、困っている人(やチーム)には助け船をだす、嘘はつかない、約束を守る、何かに縛られない自由な発想をする等ではないでしょうか。
これらの外に、信頼を深める方法は見つからないと考えます。信頼とは、それほど人生の長い期間をかけて日常の一挙手一投足から造り上げるものなのかもしれません。
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