衝動買い
第202回 自分の購買行動の検証
物質的に豊かになった今の日本では、大半の商品の購買は、食料品などを除き、いわゆる衝動購入ではないかと思います。私自身も自分の消費行動を振り返ると、ほぼ衝動買いが先行していることに気づきます。
衝動買い
家内と食料品などの必需品の売り場に行き、その選択を見ると実に合理的な購買行動を示しています。教科書で教えている通りの消費行動を示しているのを見ます。
ところが、装飾品などそれ以外の商品では、本当に合理的な購入行動をしているかについては、少し疑問です。強いて言えば、衝動買い、計画外の購入、生活の中の楽しみの一つということになります。
しかも、この衝動買いの購買は合理的でないが故に、私に言わせれば非常に人間味のある行動です。脳で購入するのでなく感覚で購入するからです。また、本人の満足感も残るので、これは尊重すべき行動パターンではないでしょうか。
ECサイトの意図を知りながら
最近はECサイトの発達で、この衝動買いが意図して作られていること自体は誰でも知っています。しかし、それでもこの購入パターンは消えない。
先般も私はサイトでゴルフクラブを衝動的に購入してしまいました。先週初打ちをしたとき、カバーのフィルムすらはがしておらず同伴者に笑われてしまうハップニングはありましたが、この衝動買い自体は、私にとって当たりでした。楽しい購買行動となりお蔭でまたクラブが増えてしまいました。
翻って、消費者に計画外のものを売る立場からすると、どう映るのでしょうか。
まず、消費者にその意図を気づかれながらも特定の商品の良い部分を強調して、消費者の購買意欲にまず火をつけなければならない。
これにはプロセスが不可欠です。私が引っ掛かった(笑)レスポンス広告などで、「今、欲しいな!」と思わせたこと、やり方は別として、どの企業でも意図していることです。「明日からワンクラブ飛びが違います!」という広告の文言に反応してしまいました。
コミュニケーション ― 合理的理由づけ
次に、消費者が納得して購入できるようにすることが肝心です。そのためには売る側のコミュニケーション方法の良し悪しが決め手となることが多いです。このことは、B-to-CのみならずB-to-Bでも、また、リアルかネットかを問わず言えると考えます。
「あなたはこの商品を購入しても大丈夫ですよ。絶対役にたちますよ!」と、安心して購入できる理由を合理的に説明、表現するコミュニケーション力、あるいは、購入すると「得をするよ!」というメッセージ力です。
このため、コミュニケーションをする時に:
・重視する伝えたい要素の数を限定、できれば、2つ位にとどめ、
・そこに割くスペースを比較的多く取ること、
・一番伝えたいことを正直に、しかも真っ先に出すこと、
・絵やグラフ、写真、購入済みの方の意見などをいれて真実性を増すやり方を選ぶこと、
が重要ではないかと思います。
事業計画を説明する時と同じ方法です。「そうだ! それをやらねば!」と、社員が納得して行動に移せる、その心に火をつける工夫です。彼らが納得して実行する合理的理由を見いだせるように、説明方法、コミュニケーションのやり方を工夫することにつながるものです。
検証すること
実は、売る側が上記の方法の重要性を分かっていても、アプリオリにベストな方法を見つけるのは至難の業です。私の経営体験からすると以下の方法で努力をするのが良いのではないかと考えます。
・どの情報に関して、どの角度から消費者が足を止めるか、
・購買意欲を一番そそるのはどの情報か、
・買い手の決め手の情報は何か、
・どの情報があれば潜在的な買い手が、その場から逃げないか
などの情報の蓄積が大切になります。
ネットなどでよく実施するのは、仮説をたてて、検索されて最初にたどり着く情報と角度をランディングページで比較検証することです。
ネットなら上記の検証をするための制作コストも安い、レイアウトも自由に変更できるので、検証がやりやすいのです。キーワードと必要な課題との関係性を分析することも可能です。
自分で楽しくやってみる
皆様も普通の消費者の一人として自分の消費行動を分析してみて見ると面白いです。なぜ購入したか、ネットのページ情報の何に反応したか等を調べてみるのも興味深いことです。普通の消費者の消費行動が如実に推量できるはずだからです。消費行動がたとえ衝動買いであろうと、自分の行動が実に楽しく人間味のある行動だと気づくはずです。
実は、それが企業の販売戦略に役立つことにもなるのではないでしょうか。
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