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考える

第276回 私が考えるリーダーの仕事の仕方

Posted on 2018-03-22

 会社に優秀な人が沢山いても、生産性は結構低いのをよく見かけます。

 何故か?仕事の仕方を軽んじているからです。リーダー層に私が強調したい仕事の仕方を、以下に悪い例を挙げて浮き彫りにします。

 

1.リーダーに「考える」習慣が少なく、仕事を捌く姿勢が見られる

 「考える」習慣が衰え、目の前の課題に対して「如何に早く捌くか」に忙殺されてしまう傾向が強くなる。

 その結果、毎日遅くまで残業し、大量の仕事をこなす人が優秀とされたり、結論が早く、自分が決めた方向にぐいぐいと部下を引っ張っていく人が評価される傾向が強くなります。

 加えて、何か不具合が起きても、根源のところを議論するよりも、とりあえず早く丸く収める調整力のある人が評価されることになります。

 結果として、新たな価値を生むことにリーダーの考えが至らなくなってしまいます。

 その仕事の意味や、仕事を通じてどんな価値を目指すかなど課題の本質まで考え抜く習慣がなくなってしまう。そうなると、ますます「考える力」が弱くなる悪循環が日常的に発生し、「はい、わかりました」と言われる通りの行動をする人間が多数派になってしまいます。

 そうなると、企業風土として、新規性、革新という言葉があったとしても、実態を伴わない上滑りのモノとして形骸化してしまう傾向が強くなります。

 

2.リーダーが、先入観ですぐに結論を出す姿勢が見られる

 過去の成功体験ですぐ安易に結論を出してしまう癖がついてしまう。

 このやり方だと、環境が変化している場合などには間違った結論になるかもしれない。また、部下との意見の交換を怠ることになり部下と一緒に答えをつくらないので、リーダーが結果責任のみを部下に押し付ける傾向がでてきて、組織のモラールを著しく下げてしまいかねない。

 今度もこの方法で行くことが正解であるかの議論が組織の中に蔓延ってしまう傾向が見られます。

 本来は、部下とのコミュニケーションを大事にし、答えを押し付けるのではなく、一緒に考える習慣をつけるべきです。しかも、事実やデータに基づいた結論を出すべきです。

 

3.リーダーが自部門のみのエキスパートになりやすい

 一つの部門に長くいすぎると、会社全体や他の部門の利益に無関心となりやすい。視野を広くして自分のミッションを再定義し、新たな視点で物事を見る癖がなくなってしまう。

 自部門のみのエキスパートのみになると、かえって組織が不活発になりやすい。

 従って、リーダーにも異部門へのローテーションが必要です。専門家になる以前に、いろいろな部門を経験して、全社的視点で物事を見られる人材に育てていく方が、会社全体としてもはるかに有益です。

 

4.リーダーが調整力のみが巧みな人になりやすい

 関係部署との無用な摩擦を回避することに努力をする人が多くなる。これでは問題の隠蔽や先送りにつながる可能性を秘めている。いずれ不正や不祥事となって現れる。

 リーダーはきちっと事実にぶつかる力を身につけなければならない。革新的なことにも挑戦して、全社として目指すものを実現させる先兵となるくらいの気概を持たなければならない。

 勿論、多くの人と意見を出し合い、議論して解決策を導き出す必要があるが、単に調整力のみに巧みな人材層だけでは、その会社の先行きが心配になります。

 以上、リーダーとしての仕事の仕方で真似をしたくない例を4点あげました。ご参考まで。

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「強い集団」と「悩める人」

Posted on 2013-07-25

 こういう集団になるようにアドバイスしていきます。

「強い集団」

 第一に、「強い集団」は明確に定義された「理念」で支えられています。これが私のこれまでの経験の帰結です。

 例えば、クロネコヤマトは、「世のため人のためになることをする」で意思統一され、「お客様のため、社会のための実現」を目指します。このため、配送の安さ、速さ便利さなどを追及していきます。以前関係している会社では、「サービスでリーダーシップ」として、サービスでNo.1を目指してサービス改革を標榜し、この内容を経営理念に明確に定義していました。

 第二に、「仕掛け」も必要です。

 感動体験ムービーで喜んでくれる顧客のシーンを何度も見る。「満足バンク」で満足ポイントが増える仕組みもどこかの会社で実践されている例を聞きました。いろいろなイベントで社員の交わりの場を設けるのも方法です。これらについては、「これからの課長の仕事」(http://sonoyama.ns-2.jp/)の記載に譲ります。 

 また第三に、課題が出るとこれをコンサルに委託するのでなく徹底して社内で議論を重ね自分たちで解決していく会社もあります。

 一人の優秀な社員よりすべての社員がそれぞれの個性で考える企業風土をつくることを目指しているからです。「普通の社員が普通に仕事をする」会社を目指すことです。かつて、同様な方法で私が「燃える集団」づくりに成功したことに似ています。鈍才が多数をしめる集団を使ってよい実績を上げるのが経営です。逆に、優秀な社員を潰している経営を観るのは悲惨の極みで経営者の風上にも置けません。

 つまり普通の社員が会社の将来を一生懸命に一緒に「考える」、「意見交換をする」ことを徹底していくことです。ある会社で提案し実施しているQCサークル活動もこのためです。

「弱い集団」にならないために

 問題は、ここに示す「強い集団」が構築される前に、組織が「弱い集団」に成り下がってしまうケースが多いことです。

 いろいろな理由がありますが、一番大事なことはその組織のリーダーがどのようなタイプの人かどうかです。

 私が勝手に「悩める人」とカテゴライズしているタイプのリーダーがいます。残念ながら「悩める人」が引っ張っている組織は、ほとんどの場合、結果としては「弱い集団」に成り下がってしまうことが、私の過去の経営体験から証明できます。

「悩める人」

 「悩める人」の共通点が以下のとおりです。

 私の周囲にも結構いました。

 まず、第一に、自分自身が何を求めているか、何を恐れているのかを知らない人です。

 また、自分の位置を知らない、これが分からない人が「悩んでいる人」です。

 たとえば失業して悩んでいる人は、実際は悩む暇などないはずなのに「悩み」を訴えます。

 本来一生懸命に職を探さなければならないのです。自分の位置を理解していません。

 経営で悩んでいる人は、実際は悩む暇はありません。経営を前に進める最善の方法を探さなければなりません。

 第二に、人の助けに感謝する気持ちが全くなく、あらゆる物事を被害者意識で見るのも「悩んでいる人」の典型的な例です。時に、周囲の人に危害を加えることになりかねません。早く正常に戻すために、この場合は、まず医者に相談することを私は勧めています。早く治した方が本人も、ご家族も皆が幸せだからです。

 第三に、「現実を拒否するのは非生産的である」ことを理解していない人です。自分の位置が見えないので、願望や思いだけを主張して、「今」が無い人です。

 例えばウサギとカメの物語のカメです。他人に勝って「勝ち負け」を議論しても仕方が無いのに、自己不在のカメはウサギに勝とうと頑張ります。元来「自分はカメである」ことの自分の位置に自信を持つことから始めるべきです。自分の位置以外のところは他の人に助けを求め、助けてもらったら感謝することです。そして「今」の幸せに感謝すべきです。それなのに、現実を拒否している人です。

 このような人に限って、自分の人生を「虚しい人生だ」と思い、思いとは別に実際はほとんど人生に迎合して生き、自分の軸がありません。甘えのみを良しとした生き方です。日常の生活に心の「心棒」が欠如しています。

「悩める人」の解決策

 でも、「悩める人」にも今の辛さから抜け出す方法はあります。

 「運」についてのカーソンの童話に、手品師が王様に牢屋に入れられ、そこから出る方法を考えろと指示された童話があります。実は牢屋の扉にカギがかかっていなかったので自由に牢屋から出られたのに、手品師にはそれができなかった。今の自己の力を過信して、狭い小道の中でさまよい全体像を冷静に考える余裕がなくなったのです。

 成果をあせらないで自分の力を客観視すればできたことかもしれません。

 

「リーダーとしてのマインド」(2)

Posted on 2013-05-02

 前回の続きです。

 ここで私が目指す「リーダー人材」になるには具体的にどういうマインドを持ったら良いのでしょうか。

4.協業のマインド

 協業の発想を重視しています。取引先とともに成長する視点です。そういう取引先を選ばねばなりません。

 買う側と売る側の交渉で気を付けねばならないことがあります。

 仕入側の立場も購入側が尊重しなければ、長い付き合いはできなくなります。急場で助けてもらえなくなるからです。

 私が言う「三方一両得」の発想で、皆がそれ相応に利益の分配、最悪は、損失の分配にあずかる発想です。

5.長所を見るマインド

 さらに、上に立つ人は、部下の長所を見る癖を持つことです。

 人間誰でも自分本位で発想しやすいものです。

 どうしても「自分はしっかり仕事をしている」のに、「部下が仕事をしないので」計画が未達だと、部下を責めやすくなるものです。

 はたして、この発想で皆が得をする展開になるかです。

 部下の短所のみ見るとその部下に安心して仕事を任せられなくなります。いつも心配することになります。

 部下も思い切り仕事にエネルギーを投入できません。いつ怒られるかわからないので戦々恐々安心できないので、仕事の効率など上がりません。

 この結果は最終的にはその上司に帰ってきます。あたかも「ブーメラン」のようです。この場合、上司も部下も会社も誰も得をしていない「三方一両損」の最悪のパターンとなります。

6.「一人結果責任」のマインド

 結果はリーダー一人の責任になります。

 リーダーが「自分は一生懸命仕事をしているのに、部下が・・・」の発想では、ほとんど例外なく、事業の運営サイクルは負のスパイラルにはいります。

 こうならないためには、その責任者が、結果は自分一人の責任であるとの基本的認識を持つことが重要なのです。

 先ほど述べた通り、部下の長所をどう褒めるかの発想に切り替えることです。たまには、部下を本気で怒らなければならないことがありますが、そこにかける比率をうんと低くすることです。

7.戦略を「思考する」マインド

 私は、「考える」、一人で考えることを非常に大事にしています。

 「わくわく元気会」の勉強会でも、ことあるごとにこのことを言っています。

 「農耕型企業風土」づくりのキーとして、個人が自立してこそチームプレーをレベルアップできることを強調している項があります。「最初に、適切に、仕事をする」を個々人で考えることの事例です。真剣に何をどうしたら全体の目的を達成することにつながるのかをチームの一人として真剣に考えることです。

 これを慶応義塾の創設者、福沢諭吉先生は「独立自尊」と表現されたかもしれません。「一身独立して、一国独立す」とも言われています。横並び的発想や群れることを排して、自立を促しています。

 一人でじっくり考えることで人間成長するのではないでしょうか。

 一人だからじっくり考えるとも言えますが、考えて、考えて人間ははじめて独り立ちすると思います。

8.事業展開の中での「仕掛け」のマインド

 中・長期的に成長・発展する会社には、「仕掛け」、「仕組み」があります。

 このことを「これからの課長の仕事」と「これからの社長の仕事」で書きました。

 しかも、「人間臭い」仕掛け、仕組が今必要です。なぜなら、「乾ききった人間関係」に飽き飽きし、もっと「湿り気のある関係」に皆が重要性と魅力を感じているからです。

 入社3年目の社員をしっかりフォローするために、新人を「里子」とみなして「里親」を、また2年目の社員に、「里兄、里姉」の役目を与えるバーチャル家族の共同体を会社の中に作った社長もいます。

 事業承認を失くした例もあります。スタッフの才能、思いを最大限引き出すため、承認などの手続きを省略してまず取り掛からせるためです。

 わたしは、収穫祭を兼ねたイベントを重要な「仕掛け」の一つとしていました。役員が社員、家族や取引先をイベントに招待して、徹底的に楽しんでもらう仕掛けです。

 集まる人々の醸し出す雰囲気や人間集団の出会いを通じて、会社との一体感を醸成するのに役立ちました。

 また、週間報告書などでの対話や自筆のコメントを書く仕掛けも「人間臭さ」の実践でしたが、詳細はほかの項に譲ります。

9.社員の発想を柔軟にするマインド

 企業には飽くなき知の探究と知の深化が要求されます。

 知の探究のために、常に新しいことに取り組まなければなりません。即ち、幅です。

 知の深化のためには、自社の得意とするところを深堀しなければなりません。これまた、新しいことに触手を伸ばすことに関係します。

 このためにはいろいろな方法があると思います。

 一つの例として、米国の3Mで採用をしているといわれる方法は、一定の自分の業務時間に日頃アサインされた業務以外に使ってもよいというものです。その時間を新しいことを開発するアイデア醸成のために全社員が使うとすれば、どれだけ新機軸につながっているか想像してみてください。

 この事例のように新しいことに触手を伸ばさなければならない危機感を共有し全員を巻き込み、アイデアを出してもらい、それに本気で取り組む仕掛けを成功させるには、企業文化が関係するのでないでしょうか。それを醸成しようとするリーダーとしてのマインドが試されます。

 

「リーダーとしてのマインド」(1)

Posted on 2013-04-25

社会に何を築いていくかの根本的マインド

 「儲かる会社」、「儲かる事業」などという表現をよく耳にします。

 会社としての最大の目的が、たくさんの顧客を発掘して、結果として利益をあげることだとすれば、「儲かる」ことは当然の表現です。会社を支える株主を考えれば、所期の利益を上げ、「儲ける」のはリーダーとして最小限必要なことです。

 しかしながら、これだけで十分でしょうか?

 リーダーにはもっと大事なことを目的の一つにして欲しいと私は考えます。

 その会社が業界の中でどんな新しい橋頭堡を社会のために築いたか、築いていこうとしているかが大事なことではないでしょうか。

 リーダーにはある種の野望があります。この野望が単にリーダーの私利私欲でなく世の中を変革して新しい何かを築いていくことになれば、これくらい幸いなことはありません。

 長いスパンで考えると、結局はこのことがその会社の価値を決めることになるのではないでしょうか。

リーダー人材づくり

 社会のために何を築くのかの内容は、リーダーの野望やその事業が置かれた業界や業種によって違いがあります。

 私は、いろいろな過程を経て、「人つくり」で社会に橋頭堡を作るのが一番と考えました。しかも、自分を高めつつも、集団のことに配慮し、人の心に情熱と安心感を抱かせることができるリーダーになれる「人つくり」です。

 このような「人つくり」こそ、今の時代に必要だと確信しています。

 私個人はHow-toにたけた「人つくり」ではなく、上記のような「リーダーになれる人材つくり」こそが、一番の社会貢献になるものと考えています。多少コストがかかってもこのような「人つくり」に重要なターゲットを置き、これで会社の社会的価値づけをしようと考えて経営していました。今もこのスタンスは変わりません。

 ここで私が目指す「リーダー人材」になるには、具体的にどういうマインドを持ったら良いのでしょうか。

1.顧客密着を徹底するマインド

 私が事業で常に発想していたのは、自社の商品が本当に顧客に受け入れられているのかを常に振り返ることでした。

 売れないのはあくまで現象で、顧客に受け入れられていないその背景があるからだという根本的認識です。

 顧客の要望を、いろいろなチャンネルを通じて把握することから始まります。汗をかく地道な仕事になります。

 それでも顧客の声を聴き続けると、「顧客に受け入れられているはず」という社内の力のある部門の一言で全てを通してしまっていることが、意外に会社の成長を大きく妨げているかを如実に反省する瞬間に遭遇します。

2.集団の知恵を生かすマインド

 同様に、自分の会社が社員にどう映っていうのかを、経営側として常に気にしていました。今もそうです。

 これは社員に媚を売ることを言っていることではありません。

 経営陣、社員、取引先などの共同体組織がたまたま会社の形態をとっているという理解から発想しているからです。

 会社の内容が社員によく映ることは、彼らの脳の回転を積極的にすることにつながります。全員で協力して会社をさらによくしていこうという発想につながります。結果、顧客に受け入れられることにつながるのです。

 特段大金をかけて「社員満足度xx調査」などする必要性などありません。社員への映り方の把握のために、有益な情報は社内のそこら中に沢山落ちているからです。

 施策が社員にどう受け入れられるか、どう映っているかを出発点とし、集団の知恵で創意工夫をこらしPDCAを回して、自社の商品を買う側、利用する側の視点で、皆で改善することにつなげていきます。商品の開発も、顧客の要望をどうくみ取り自社が顧客と一緒にいかに繁栄していくかの社員の視点を基本とします。

3.何に差異化を置くかのマインド

 さらに、差異化をどうするかを重視しています。この発想がある限り、「景気の波が・・・」と他のことを理由にする議論から少し距離を置けることになります。

 景気の悪い時期をプラスに利用できる発想もでてきます。

 皆が苦しいこの時期、自社も苦しい。

 しかし、逆手に取ってその期間に自社の差異化に時間とエネルギーを費やせば、競合より相対的メリットが多く出せます。

 一例として、競合に先駆けて顧客をサポートする体制をどう作るかに、景気が悪いその時期にこそ取り掛かる。このことがどれだけの大きな差異化になるのか、実は、その時より後になって分かることなのです。

 

あなたはビジネスマンとして成長する定石を知っていますか?(2)

Posted on 2013-03-28

 前回の続きです。

 たくさんの社員の成長を20年間経営者として見つめてきました。結論は、成長のための定石には、その深さの違いがあるとして、それぞれの役職レベルとはほとんど違いがなく、以下の共通点があると個人的には確信しています。

4.知的スキルを身につけることです。

 ビジネスマンがランクアップするに従って全体構造を構築(コンセプト)する力が必要になります。今後、国際的な環境下で仕事をすることもますます多くなります。

 そのため私の体験では、まず、数字力、すなわち、いろいろな事象を皆が同じ土俵で議論できるよう客観的な数字に置き換え、数字で説明できる力が必要となります。

 また、法律の基本的な知識、特に、民法の総則部分や会社法の基礎知識があると実務での判断のよりどころとなり、全体構造の理論的バックボーンが明確になり説得力ある説明につながります。重要です。

 加えて、ITの簡単なスキルも必要です。社内のほとんどの情報がIT化されている現状からすれば、必要な情報に早く近づくにはこのスキルが不可欠です。

 言語、少なくとも、英語を自由に駆使してコミュニケーション出来る力も必要です。世界中どこにいてもコミュニケーションができる状態にあることは、ビジネスマンとしてたくさんのチャンスに得ることにつながります。

5.また、更に自分を磨くことです。このことが人に好かれ選ばれることに繋がるからです。

 自分にとって最大の仲間群である部下との親密な関係をあなたは作っていますか?

 無私の気持ちで部下と付き合う、上下の関係抜きに好かれる魅力、部下からも選ばれる魅力をあなたが身につけることが、あなたの今後の成長に不可欠なことです。もちろん、一緒に楽しみ、悲しむ友人、相談できる友人や仲間が必要です。

 この人たちに好かれるには、相手を知り相手に役に立つための情報力を身につけ、この人と一緒に仕事をしたいと相手に思わせるあなたの共感度が決め手です。また、いろいろなことを調整できる力が欲しいものです。もちろん約束事を守る確たる信念とそれを実行できる基本的な力が必要なことは当然です。

 私の身近にも幸いこのような人がいました。このビジネスコラムのほかの項(2012年11月1日「本物の人間力」)で書いた清水君の例などは明らかにこの範疇です。ご興味がある方は参考に開いてみてください。

6.自分にコントロール可能な部分は何かを見分ける力を身につけることです。

 自分にできることと、できないことを見分ける視点を身につけると成長のための非常に大きな力になります。

 簡単ではありません。問題を発見し上記の視点でものを見ることができるようになるには多面的、長期的で本質を見抜く力と関係、すなわち、本人の成長度と関係するからです。

 しかし、ビジネスマンとして成長した人を見ると、この視点を持って対応・判断している人が多いのを見かけます。

7.次に重要だと考えるのは、自分自身を変革していく力を持つことです。

 自分自身を変革するとは、自分自身が自分の想定を超えることです。

 超えたと思う心理環境になれるのには決意自由度が必要です。自分は絶対に変われるという熱い決意を持ち既存のやり方やルールを一旦疑い、自分で好きに考える自由度が必要となります。

 私は会社再建時に体験しました。この時の自分の行動は、五感とイマジネーションを会社再建に向けてフル動員して自分を「変革できた」と感じたことを記憶しています。

 自分自身を変革していくのは、違う表現を借りると「今を最大限生き」ながらも「変わる」ということになります。通常、一定の結果の得るには、こうしたいという目標を持ち、それを考え方に落とし、行動に移し、その結果を待つのが一般的です。

 したがって、「変わる」には行動を変えるか、考え方を変えるか、こうしたいというアイデンチティーを変えるかしかありません。現実、最大の障害は「・・・をしたら・・・になるのではないか?」との失敗、マイナス面の可能性を恐れてなかなか行動できないものです。それでも、先に述べた決意と自由度さえあれば可能のことが多いと思います。

 これらの五感の感性想像力を駆使して、単に「正しいか、正しくないか」の二面判断のみではなく、非合理的なことも考慮にいれて多少遠回りしてでも自由な発想に沿って考えていくことです。この積み重ねで自分自身が変わり成長していった実感につながります。