少し先を読む、ニッチな分野、差異化、キラー・サービスやコンテンツ、 不満の声が大きいと思う分野、
ビジネス上、どうやって一番になるか、近づくか?(1)
どうやれば競合条件の中で早く一番になれるか、または、近づくかは、世の経営者なら誰でも関心の高いことと思います。
皆様が何かのヒントを見つけることができると思い、今回はこれに関して思うことを述べさせていただきます。
私が経営を任された当時、会社は、その規模や内容等どれをとってもNo.1の企業に大きく水をあけられていました。NO.1企業からすれば、どちらかと言えば「その他の会社群の一つ」として評価されていたと思います。これを社員と共に十数年かけて、あるドメイン分野で実質No.1の会社に成長させることができた経営体験から、どうやって早く一番になり競合会社を凌駕できるか、これを今回のテーマとしました。
これから述べるヒントは、今も多少の修正を加えれば、どの業態でも通じることだと確信しています。
1.時代の少し先を読み、満を持して作戦展開をする
戦略には相当な思考過程が必要となりますが、時代の潮流をしっかり捉え、少し先を読んだ戦略を描くことが求められます。
ただし、余りにも早く時代の流れに乗りすぎないこと。限られたエネルギーを、時間の経過により消耗することにもなりますのでご留意ください。時には知恵を絞りに絞って、後出しジャンケンをするくらいの余裕を持ってください。すぐに潮流に乗らないで、少し待つ。満を持して作戦展開をすることです。たとえ後発でも、時代の潮流の読み違いさえなければ、先駆者のマーケットを打破することができます。
このタイミングを如何に見極めるかは、経営感覚と言うか、リーダーとしてのセンスがモノを言う部分になります。
2.ニッチな市場を狙う
戦略ターゲットとして、出来ればニッチな市場を狙ってください。
多くのマーケットでは、競合がひしめき合っています。その中で「その他の会社群の一つ」に埋もれないためには、ニッチな分野で他の人がやらないことを狙うことです。
他の人が成功しているからその分野を狙うのは、陥りやすい落とし穴です。いろいろなところで成功体験や失敗体験として語られている通り、皆が同じ方向を向きだし始めたら、そもそもそのマーケットが成熟に近いことを暗示していると気づいてください。新機軸や技術に余程の差が無い限り、単純に他の人の成功分野を後追いで狙うのでは、単なる消耗戦に巻き込まれます。結果として、会社の組織や人材が疲れ果ててしまうリスクがあることを忘れないでください。
そうは言っても、救いようもあります。市場が円熟している分野の中でも必ずニッチな分野を捜せます。アンテナの張り方の広さと深さ次第で、ニッチな分野は意外に多くあることに気づきます。
違う視点からの経営的センスを持ってニッチな分野や商品を探し出す、普段からのたゆまない探究心が必要となります。
3.差異化のターゲット
何に差異化のポイントを置くかを、まず明確に決めることです。
最初の頃は、誰でも持てる資源は限られているはずです。戦略を早く実現したくても、人、モノ、設備、技術、資金等あらゆるところで経営資源が不足しているはずです。そのような状況の中でも、差異化を出せる分野にあなたの会社が資源とエネルギーを投入しつづけることが出来るかが、勝負の分かれ目です。
目移りする面白い分野もあるでしょう。しかし、差異化のポイントを一貫してずらさず、決めた我が道を行くことです。そこの資源を集中的に投入することです。チャンスが必ずやって来ます。
私の場合、ポイントを「クオリティー」に置きました。この部分で差異化すれば、少ない資源でもNo.1企業に対して勝負できると確信したからです。ここにクオリティーとは、単に作り手側の論理での品質ではなく、高品質でしかも顧客の願望にマッチし、顧客を魅了する何かを言います。会社のあらゆる施策に、これを反映させ一貫性を貫きました。
結果として、会社のブランドを築くことができ、比較的高い価格でサービスを販売できることになったと思います。
4.顧客のファン化
顧客を酔わせるキー・サービスやコンテンツを探すことです。これで顧客をファン化することです。
商品の内容、提供方法等に関して法的保護が薄い分野では、そのうち誰かが真似してきます。それでも優位に立てるキラー・サービスやコンテンツを探し出してください。まずそれを明確にして、そのレベルアップを常に考えて対応してください。
顧客を酔わせる何かが一見なさそうな分野にも、真剣に考えればかならず見つけることが出来るはずです。そのキー・サービスやコンテンツをトリガーとして顧客を魅了し、ファン化することです。
5.顧客の不満を吸い上げる工夫
消費者の不満の声は満足の声より大きくなる傾向を持っている事実を、事業ヒントにしてください。不満の声が大きい思う分野に、会社として誠実に対処する方法を考え、実行できるかが次のポイントとなります。
顧客は不誠実を一番嫌います。どんな分野でも、顧客の不満に誠実に対応するビジネスの礼節が求められると考えます(参考:『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。』クロスメディア・パブリッシング社)。
勿論、費用対収益の関係が吟味されるべきです。その比較スパンを、単年度でなく出来るだけ中期的なスパンで考えてください。特に、サービスの提供に関わる事業では、人件費の負担が大きな課題です。これを節約するために、海外シフトする企業も見ます。しかし、その市場に適したサービスの質を提供するためのトータルコストをよく吟味してみると、違った結論がでるかもしれません。
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