割り切り、起業、人生の豊かさ、リスクテーキング
幸せなビジネスマン人生をおくるための選択(2)
前回の続きです。
この頃の起業は慎重な判断
50歳頃から起業する人を見ます。大変尊敬します。
しかし、成功の確率は1%以下と思うべきでしょう。理由は、50才までサラリーマンとして会社で飼いならされた人が、いきなり大きなリスクを取れる体質をそもそも持ち合わせていない人がほとんどだからです。私の周囲でもこのような人が沢山いました。
前回述べた通り、私は40才頃に会社の経営を任されましたが、実はそれ以前から、何とか自分で会社を立ち上げ経営してみたいという考えが、常に根底にありました。従って、実質倒産状態の会社と後で分かったのですが、その会社の社長の指名を受けた時は最大のチャンスと奮い立ちました。この会社を大きく立派な会社にして社員を幸せにしようと、起業家精神でわくわくしたのを覚えています。リスクテーキングの準備が既に出来ていました。親会社からの出向扱いも自ら返上して、自分が経営を託された会社に骨を埋める覚悟を持っていました。
40歳の頃に来たからこそ、経営リスクを取れる年代でした。一般のサラリーマンと違い事業家のDNA、果敢にリスクを取れる体質も持っていたと思います。
私のこの経験を考慮すると、50才代のどの様な人に起業を勧めるかです。技術やノウハウで相当の差異化がある人ならOKです。しかし、単にサラリーマンとして飼いならされそこまで来た人では、経営のリスクテーキングの重圧に耐えられるか心配です。リスクを取って起業するなら、普通のチャレンジングな人にはもう少し若い30才代か遅くとも40才代での決断を薦めます。以後のビジネスマン人生の幸せ度が違ってくると推測します。
定年後のことを見据えた準備
50才を過ぎても、残念ながら自分にとりたてた能力が無く会社の中での見込みが薄いと考える人もいるかもしれません。
そのような人は、残念ですが自分のビジネスマン人生にみきりをつけるのも一つの考え方です。何も会社が全てではありません。昇進のみで人間の価値が決まるわけがないからです。定年後をいかにハッピーに過ごすかを考え、そのための準備に精を出すのも一つの貴重な考え方だと思います。
しかもこの準備には、すぐ取り掛かることです。「定年になったら・・・をする」という発想で我慢しても、まず上手くいかないと考えるべきです。今できないことが、将来出来るとは思えないからです。突然責任を負い会社を去ることになるかもしれません、突然病気になるなどなど、いろいろ予測不能な将来も待っています。
私の周囲でも、「定年後には・・・をする」と将来のことのために我慢して「今を過ごす」人もいますが、その通りになった人をあまり見ていません。それより、今を充実した生き方が本人にとって幸せだと考えます。
準備のためにすぐ行動に起こすのが得策と考えます。晩年の人生のバランスシートで共通の失敗は、今やりたいことを定年後に先送りすることです。旅行、遊び等なんでも良いのですが、楽しみを先送りしても、それの実現が約束されない不測の事態が起きる可能性が、年齢と共に高くなることを考えれば、そのような選択は愚の骨頂ではないでしょうか。
転職の選択
50代での転職も良いかもしれません。
しかし、環境が激変することを覚悟してください。転職を機に、住む場所が変わるかもしれません。海外勤務になる可能性もあります。友人も変わってきます。これらのことを総合してその年代での転職のメリット、デメリットを判断されることを薦めます。
貴方に本当に技術力やノウハウがあるかをしっかり見極めてください。サラリーマンとして会社の名前で商売をしていたことを、自分の実力と勘違いしている人を見るからです。このことを肝に銘じてこの選択されることをお薦めします。
幸せなビジネスマン人生を送るために、多少のヒントになったでしょうか。
幸せなビジネスマン人生をおくるための選択(1)
時代が変わってきました。これに対応してこれからのビジネスマンには、ある年令になる前に割り切りの決断が必要になると考えます。
会社に骨を埋めるか、先のことの準備をするためにその間に必要なノウハウをひたすら蓄えるかなど、自分の人生の将来についての基本的なスタンスを持ってある時期に割り切る決断をすべきとの認識です。
実力を貯える時期
20代、30代の時には先輩から教えを請いながら自分の実力を蓄えることに尽きると考えています。
勉強しかり、仕事しかり、徹底して自分の能力に磨きをかけ、ビジネスマンとしての自立の準備をすることです。この時代の努力こそが以後の人生の豊かさに大きく影響を及ぼします。中途半端なタレント(能力)では将来通用しないので、気合を入れて自己のスキルアップに努める頃です。
将来に起業する余地も残す
実力を貯えながらも、一方で起業するマインドも欲しいものです。
ベンチャーと呼ぶかアントレプレナーと呼ぶかその呼び方はどうでもよいことです。
自分の実力のみを頼りにするか、あるいは、自分の能力と他者の能力を組み合わせて何か新しいことを作り上げる起業の準備もしてもらいたいのです。能力と起業の意欲さえあれば、世の中の様々な変化や突然発生する思いもよらない出来事に対しても適切に対応できるオプションが増えるからです。
自分が一生懸命仕事をしていても、マーケットの変化やその会社が予期せぬ合理化策を実施して、あなたがリストラの対象になることがあるかもしれないことを思えば、起業も選択肢の一つとして持っておいた方がよいと考えます。勿論、経営することから発生する様々なリスクを取れる覚悟のある人にしかこれを薦めませんが。
人生の半ばでの迷い
順風満帆にビジネスマン人生を送っている人でも、50代に差し掛かると、皆、前半の半生と後半の半生の分かれ道に差し掛かった時、複雑な感じを抱くものです。当然です。一生懸命頑張ってそこまでやって来たビジネスマンに定年というものが迫ってきます。この時期に、定年までの10年間と定年以降をどう過ごすかで迷いが出る人も多くなります。
一般のビジネスマンは、この年齢になるとその会社の中での将来が見えてくるものだからです。出世の可能性があるか、そうでないかは、本人が一番よく分かっています。ただ他の人には言えないだけに、余計本人の心の中に迷いが溜まるはずです。
ピラミッド型の組織を考えれば、残念ですが大半の人は上位のポジションに出世する可能性の無いのかもしれません。このこと自体は決して人間の価値を決めるものではありませんが、その時どう自分をモチべートし自分自身がいかなる行動を起こすかで、その後の人生の豊かさが大きく変わるのではないでしょうか。
得意分野を生かし会社内で貢献
私は40才頃社長としてある会社の経営を任され、沢山の部下を持つことになりました。この部下へ給与はめったなことがない限り減額できません。むしろ、経営者は社員の給与を毎年上げて行く努力をしなければ評価されない宿命を持っています。
経営者として部下という社員を観察する機会も当然ありました。特別な才能が無い普通の社員なのに、こんなに沢山の給料をもらってよいのだろうかと、社員側に立って逆に心配することもありました。経営責任のある社長の二分の一から三分の一ほどをもらえる立場の社員も沢山います。特別すぐれた才能を持たない社員もいます。このような人に会社が沢山の給料を払ってくれる商売はそう多くないのではないかと、自分ながらサラリーマンが羨ましくなったこともありました。
凄い能力のある人と比べてください。大学の同期や近所に住む優秀な人で作家や音楽家になった人もいます。客観的に観て、特別な能力がある人でした。それでも、その分野での収入のみで食っていくのは大変と聞いています。これに比べて、収入の点だけを考えると、上記に記載のサラリーマンは楽です。
だから、会社に感謝すべきとまで言う筋合いはありませんが、長年お世話になって自分を引き立ててくれた会社です。人生半ばの50才からの10年間をどう考えるかです。20数年仕事をしていれば、得意な分野は自ずと明確になっているはずです。まずは自分の得意な分野で如何に会社に貢献するかを考えても良いのではないでしょうか。その能力を駆使して、何か一つでも会社の資産となりうるものを築いていく努力をしては如何でしょうか。意外な展開で、本人に大きなチャンスが巡ってきて、更に豊かな人生が送れることになるかもしれません。
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