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バカモン

利益を生む仕掛けや仕組みを具体的に指導していますか?

Posted on 2012-09-27

 中小の会社では、このことが不得手な会社が意外に多いように見受けます。利益を上げるために社長等幹部が漠然と「もっと頑張れ!」と言っているだけで、「仕組み」として指導していない会社が多いのです。

「仕組み」を具体的に見える形に

 会議体での報告の「フォーマット」ひとつをとってもそうです。一例です。そのフォーマットに従って報告をしていけば、そのうちフォーマットの主旨とその裏に潜む考え方を報告者が理解してきます。その結果として会社が目指す経営のポイントがわかってきます。

 このように、フォーマットは誰でも一定レベルの経営ができるようにするためのものです。天才を対象とするのでなく、普通の社員が一定のレベルの部門経営を行える、一つの仕組みをつくることが肝要です。

 グループ責任を持たされた長が、グループの経営実態と課題を「フォーマット」化した報告書に反映させ、修正行動も含めて次の展開を図れるようにするのも指導の大きな部分です。アルバイト社員も含めた社員との意見交換が十分できていない長の報告書はすぐ見抜けます。

 仕事をしていない責任者の報告書もすぐ見抜けます。理由は、実態を踏まえた知恵の塊やチャレンジした事実が無く、または、報告として具体的に書けないほど、取り組みの課題、やるべきことがぼやけているのです。

 私の体験です。

 経営を引き受けた当座、社内のマネジメント全体に総コストで物事を把握する習慣がありました。私が観察するに、固定費と変動費を分離してみる習慣が薄いので、現場での意思決定にキレが無く、無駄が生じていました。これを、口を酸っぱくして言うよりも、フォーマット化した報告書で固定費費目、変動費費目や限界利益を具体的に表示させることで、彼らの考え方のみならず、マネジメント行動自体に変化をもたらすことが可能となりました。

 今からすれば当たり前のことかもしれませんが、私は1990年代に於いてこの概念とツールを「見える」形のフォーマット化、仕組化しました。うれしいことに、この報告方法が、社員の体質となって身についていたことが、Facebook上で私のコラムを見た元社員からの最近のコメントで分かりました。

 経営側は、そのフォーマットに記載された「上手くいったこと」や「上手くいかなかったこと」をもとに、具体的に指導していくのです。この「フォーマット」化された報告書という「仕掛け」で自分のグループがどうしたらさらに儲かるかの知恵を結集していくクセがついてきます。

 また、「自分たちの意見が報告書を通じて経営に取り上げられた」となると関係する社員のモラールは高まり、彼らからも自主的に提案やアイデアがでてくる傾向をつくることにもつながります。

時には、「バカモン」と厳しく指導

 報告の仕組みとして「フォーマット」化の理由を説明しましたが、このレベルの幹部には育成上重要なポイントがあります。

 単純に任せるのではありません。任せながら指導するのです。

 私は、組織を発展させる約束を条件に、この様な育成途上のグループ長にもその部門の営業、方策、採算管理、人事などすべてを敢えてやらせました。ミッションと「場」を与えたのです。それが「グループ長の任務です」との一言を添えて。

 彼らをそれまでの「してもらう」立場から「してあげる」立場にして、現実の経営で厳しく指導しました。

 責任を持たせることですから、意に沿わない経営をした時には、私は「バカモン!!」と会議の場で叱責し、「週間報告書」と称する報告書には赤鉛筆の大きな字で「バカモン!!」と書きなぐりました。「指導された」ことを誇りに、「バカモン!!」と朱記した私のメモを今も保存している者もいました。これを「何クソ!!」とバネにして発奮し大きく成長した社員が沢山います。

 彼らと仕事の意義や改善策をその場で議論すると、非常に血となり肉となるようです。

 このこと自体は私の労力上ものすごい負担になりましたが、とにかく続けました。月例報告会や週報、月報などで厳しくも優しく接することで、社員とトップとの連帯感もつくれました。このようにして日常の経営の場で指導しながら大人の同志をつくっていったのです。

「人材の石垣」の組み合わせの妙

 沢山の社員の生活がそのグループ長の双肩にかかっているのです。

 最近、職場で叱る姿を見ることが少なくなりました。

 口に出して「ああしなさい、こうしなさい」と叱りつけながら一人前の幹部になるよう指導するのは上司として当然のことです。単なるコンサル的仕事をやっているわけではありません。そのような叱責でひるむようでは、彼にはその部門の将来や部下の生活の責任を負わせられません。

 とにかく「フォーマット」化した報告書の報告内容をもとに真剣勝負で経営側が期待することを具体的に指導していきました。

 大きい石、小さい石の組み合わせで簡単には崩れない石垣群ができるといいます。

 人は石垣と言います。

 そのとおりです。人材で会社が持っています。うまくいっていないところは、この人材という石垣の組み方が下手なのです。

 いろいろな指導をしても、社員の成長の分野とスピードは一様ではありません。小さな石垣はそれなりに、また、大きな石垣はそれなりに。強い石、柔らかい石の組み合わせ、バランスの妙が効くことになります。それらを上手く組み合わせ、すべての石が活きる工夫をしていくために、経営層はいろいろな指導をすることになります。