農耕型企業風土
「わくわく元気」に仕事をしていますか?(2)
前回の続きです。
「わくわく元気」になるために
「わくわく元気」に仕事をしていますか?朝一番、今日も会社で楽しい仕事が待っているとの思いが起きていますか?組織など他の環境要因が影響を与えることで、自分の理性的行動にマイナス影響を与え、あなたの気持ちが滅入っていることがあるかもしれません(これについては別稿で触れる予定です)。
そのような外部のマイナス要因があったとしても、皆さんが少しでも「わくわく元気」な状況をつくるために、自分の行動をどう意識して改善したらよいでしょうか。
①なんといっても「ストローク」です。
「おはようございます」と相手の顔を見て声掛けしてみてはどうでしょう。あるいは、部下に対して「今日の提案は切り口が素晴らしかったね」など、本心で部下にポジテイブな「ストローク」を送ることです。相手が「わくわく元気」になるのみならず、自分自身に「わくわく元気」感が跳ね返ってきます。
②嫌なことに笑顔で対応することです。
何事にも泰然自若として動ぜず、ニコニコ笑顔を振りまくことであなたの脳の感情に影響する部位が反応してプラス思考になります。
③脳の思考モードを前向きな「WHY」モードに切り替える努力をすることです。
これはある部分、行動習慣で解決できます。何かの課題に対して、自分を客観視しながら「WHY」から脳に入るモードにすることで、前向きに解決策を考える行動習慣が脳に定着します。常識や普段からの考えをある意味で疑うことにも繋がりますので心の循環が良くなります。
また、誰にでもピンチはあるものです。この時、「Why」から入り「こうやれば上手くいくかも・・・」と「How」に転換させることで脳を前向きのプラスに回転させるよう組み立てれば良いのではないかと思います。
④時間を有効に使うために、やらないことを決めていくことです。
頭の中が沢山の「やらねばならないリスト」であふれているとしたら、「わくわく元気」になれるわけがありません。自分の時間管理をしっかり実践していくことです。
問題はそのためにどうするかについて私自身のことを例に挙げます。
私自身は、自分が集中的に取り組むべきテーマを決めることにしています。そのテーマから外れたことは、ポスト・イットを捨てて「やらねばならないリスト」(私はポスト・イットを利用しています)から外しています。
仕事の中でやること、仕事以外でやること沢山あると思いますが、普通の人が本当に集中できるのは年間に直すと、せいぜい3~5件ではないでしょうか。私は今4件です。若い人はもっとあってもよいかもしれませんが、私の齢ではこれでも多いくらいです。
例として、
a) 現在会長をしているネットスクールを「胸のはれる会社」に成長させること。
「胸のはれる」要件定義には時代背景でいろいろ違いがあると思いますが、会社の共有すべき価値を早く定義して社員全員の共通理解を醸成しようと思っています。醸成のプロセスを通じて解決すべき課題が浮き彫りになり、その解決策から3~5年後の会社の姿を描くことにつながるからです。
b) 「わくわく元気会」の部会を増やし、若手の経営層に多面的な勉強をしてもらうこと。
c) 庭師としてのレベルをあげること。
d) ゴルフを少し上達させること。
一見仕事に力を入れていないのではないかと見えるかもしれませんが、私は上記のa)、b)とc)、d)の時間をON/OFFに区分しないと仕事が上手くいかないタイプです。遊びというか趣味に一生懸命になることが、仕事に良いモードやリズムをもたらすことにつながっています。
⑤1日の終わりに「考える」時間を必ず持つことです。
1日を振り返るのです。出来たこと、できなかったこと、どうやったら更に上手くできるかなどを振り返ることにしています。ただし、夜中は人間的部分が動物的部分の面倒を見ない傾向があるがゆえに悲観的になりやすいそうですので、このことには留意しています。
個人が成長するには「学習する」ことが必要です。この学習を通じて自分の成長が予感されると、次の日「わくわく元気」感がわきます。また、その過程で教えていただいた方々、ヒントをいただいた方々に感謝することにしています。この結果、脳の構造の感情の部分の善循環につながります。
組織としての「わくわく元気」感
上記はあくまで、個人が「わくわく元気」になるためですが、実態として組織としてどうするかが問われることも多いです。もし、組織がわくわく元気になっていないとすれば、次のような現象が出ているはずです。
- 適性と仕事が合っていない、適材不適所の場合です。
- 仕事に自由度や自主性がなく仕事に「やらされ感」がある。
- 経営陣の言行不一致があるように映り、経営陣に対する信頼感が欠如している。
- 経営陣が会社を私物化している。
- トップの指示型組織の悪い部分が出すぎて、社内の一体感が欠如している。従わない社員は去ることを半ば強要される雰囲気が蔓延し、結果、イエスマンのみの集合体になってチャレンジする気風がなくなっているなどなどです。
別稿「あなたの会社は活性化していますか?」で、その対応について書く予定です。ご参考にしてください。
「わくわく元気」に仕事をしていますか?(1)
「わくわく元気」になる「フォーミュラ」
いかにして社員を元気モードにするかはどこの会社でも重要課題のはずです。昨年発足させた「わくわく元気会」の名前を付ける時の経緯を思い起こして、社員がさらに元気になるヒントをまとめてみました。
私は、「いろいろな施策で社員を幸せにすると、本人(社員)の心理と脳への特定の働きかけにより社員のモチベーション、創造性、革新性が高まってイノベーションをもたらし、本人と会社を成長に導く」という「フォーミュラ」を開発し。これを強調しています。
曰く、「農耕型企業風土」づくりを通じて企業を中・長期的に成長発展させる「フォーミュラ」です。
この「フォーミュラ」を分解すると…
- 「対話をする」、「場をつくる」などのいろいろなステップを踏んで社員を幸せにする努力をします。つまり、一見非合理的なことにも配慮の上、経営上の「仕掛け」や「仕組」をつくります。
- この社員を幸せにするステップが本人の心理と脳への特定の働きかけにより、社員のモチベーション、創造性、革新性を高めイノベーションをもたらします。
- このように個々人の社員の心を「わくわく元気」にすることが、チームプレイや人間関係を重視する環境と相まって個人の成長のみならず、組織集団のパワーアップをもたらし会社の成長に繋げていきます。
社員の心の動きと良き人間関係が相まって個人と組織の力をつけることにつながります。
重要なことは、社員を幸せにすることが「原因」で、「結果」として会社が成長する「フォーミュラ」でした。通常、経営者は逆に発想しがちですが、私は敢えて原因と結果の流れを逆にしました。
約20年間の経営体験を通じて、この「フォーミュラ」を実践に移すことを通じて会社が中・長期的に」成長していくステップを実体験しました。
心の問題
社員の心理の部分が重要です。社員が幸せになるという価値観は多様です。
しかし、ビジネスに関係する人にとっては、少なくとも社員のモチベーション・マネジメントの恩恵を受けて、組織の中での社員自身が「わくわく元気」になる状態にすることです。
すなわち、社員の脳をポジティブに活性化させ、自主的に新しいことに挑戦するモードをつくることです。
社員のモチベーション・マネジメントの関係で人間の脳の働きについても少し勉強しました。
人間の脳の構造についてはいろいろなところで脳の部位との関係の説明がなされています。脳の中の理性、感情、情報の3つが複雑に関係して人間の心を動かし、行動に影響を及ぼしていると私は思っています。その意味で脳の特定の部位とその働きが人間の心とどう関係しているかがずっと興味のあるところでした。
大脳の旧皮質の部位は「動物の脳」と言われるほど我々の生命力の根源だといわれています。この部位はある意味で動物的であり感情に影響することになります。
大脳新皮質の部位は「人間の脳」とも言われるほど理性と関係します。サルなど他の動物は理性を持ち合わせず、人間のみが持つ特性です。
また、間脳で過去の情報を蓄え、時に消去しながらその右脳部位で膨大な記憶を操っています。経験情報のデータをもとにした自己の行動に影響することになります。
情報をもとに理性と感情の関係が重要になります。人生を豊かにするにはこの脳の働きに関して情報を通じた体験をもとにして、個人の動物的な部分も含めた感情をうまくコントロールし理性的に行動することが必要となります。このことが結果として、その人を「わくわく元気」にすることにつながっていくからです。
それぞれの国にそれぞれの企業風土や企業文化があることを前提に施策を練っていますか?
国による文化(風土)の違いの認識
2012年2月、著名な指揮者、沼尻典竜氏の演奏会が三鷹でありました。演奏会後のパーテイーで沼尻氏と奥泉光氏(1994年、第110回芥川賞受賞者)との対談があり、その中で沼尻氏からこんな面白い話が出ました。
「ヨーロッパでは『ラ』のピッチが日本やアメリカより高いのです。だから、最初は音を合わせるのが大変ですが、そこはプロで、すぐ合わせてくれます。」と。音楽の世界ではありますが、国によってこんな文化の違いが現実にあることを、沼尻氏から教わりました。
また、フランスとドイツではチェロの弦の持ち方が違う(上から押さえるか、下から持ち上げるか)ということも聞いた記憶がありますが、この部分の真実は未確認です。
二次元と三次元
2012年春、私が主催する「わくわく元気会」傘下のコーチング品質保証コミュニテイー(松下信武氏主催)でも、文化や表現の違いに関する面白い議論がありました。
「農耕型企業風土」づくりで会社を中・長期的に成長させる方式を分かりやすくするために、『これからの社長の仕事』(ネットスクール出版)の巻末に私が書いた大木のイラストを記載しています。
このイラストは二次元なのです。
私としては「成長の流れをもっとリアルに表現するために三次元風にしたかった」と述べたところ、部会の参加者2名(佐々木研一氏、広川正人氏)からは違う意見が出て驚きました。
お二人とも建築設計や車の設計などの業務に直接・間接携わった経験をお持ちの方で、建築物や車の二次元図を三次元にしてプレゼンテーションされた経験がおありのようです。「日本人には二次元が合っています、浮世絵なども二次元で表現されていますし、日本人はこれらを見慣れています、逆に、イタリア人は、3次元で表現するのが凄く得意で、特に車など二次元の図面を三次元のモデルへ展開するのは、非常に得意です。」と。
日本人とイタリア人には明確に表現の差があるということを指摘頂きました。
「農耕型企業風土」づくりの経営
それぞれの国で表現方法の差、文化や風土背景の差が歴然としてあることを事実として認識し、この差を経営の展開の仕方でも活かしていかなければならないのではないでしょうか。
特に日本では日本の文化や風土に適した経営、「湿り気のある人間関係」を大切にしながら個性を活かしつつチーム力を強化する「農耕型企業風土」づくり(『これからの社長の仕事』に詳述)が大切であるとの私の主張に意を強くした次第で、これを主題としてこのビジネスコラムを書き続けています。
そろそろ金(カネ)中心の発想を転換すべき時期と思いませんか?
アメリカでも数か月前に、中央銀行が国債引き受けという「禁じ手」を実施したのは、皆様のご記憶に新しいと思います。
しかし、その施策以後もマーケットは安心できるとは言えない状態が続いています。
また、格付会社のスタンダード&プアーズがアメリカ国債をAAAからAAプラスに下げたのも衝撃的な事実でした。アメリカに頑張ってもらわねばなりませんが、私は、かつてのドル機軸の経済通念が、ここにきて完全に揺らいでいる印象を持ちます。
かたや、ギリシャの財政危機に端を発して、EU圏を中心にヨーロッパでも金融危機がなかば恒常化しています。スペインの財政危機もとりざたされ、救済措置が講じられる報道が発表されていますが、どう具体化するのかが何となく見えてきません。あわせて、EU内では国民や国の間の所得格差が大きくなり、社会での二極化現象がでてきている報道があります。
実態として経済は、非常に不安定な状態が続いていると私自身は認識しています。
こうした中で我々は、特にアメリカという国をどうとらえたら良いのでしょうか。
行き過ぎた金融資本主義と「人間中心の経営」
大学で「需要と供給の一致で最適解を見つけられる」ことを市場論理として教わってきました。確かに、この論理でわれわれの物理的生活水準が上がってきたのも事実ですが、一部の金融機関を中心にした昨今の行き過ぎた金融資本主義、すなわち、実物取引とは乖離した実質資産の裏付けのない投機的な取引がマーケットを凌駕しているのは如何なものでしょうか。非常に憂慮すべきことだと、私は考えます。
私は、「農耕型企業風土」づくりを通じて継続的に企業が発展するには、このようにカネを中心に物事を考える習慣を今や大きく軌道修正し、「人間中心の経営」発想をすべきではないかと警鐘を鳴らしている一人です。
なぜこのようにカネ中心の発想をするようにことになったのでしょうか。
それは、アメリカ人が本源的に持っている考え方と関係しているかもしれません。私は1961年、AFS留学生として、ニューメキシコ州というアメリカ西部の高校に留学して、彼らの考え方に強烈な印象をもちました。
19世紀後半までのアメリカでは、カリフォルニア、テキサス、ニューメキシコ州やこの近辺で西部開拓が行われました。新しい市場を開拓して、そこから富を探して得ることが、彼らの考え方の根底に染みついていると思います。ところが20世紀後半頃、西部が開拓しつくされました。
そこでアメリカは、新しい市場を求めて海外に進出しようとしましたが、その途端にそれらの地域はすでにヨーロッパ列強が押さえている、即ち海外にも開拓するところが亡くなったという事実に直面したのです。一部地域では、アメリカは武力で奪う方法も取り入れました。しかしアメリカは、武力で彼らのテリトリーを奪う戦略より、むしろ金融の力で市場を開拓し、最終的に支配できることに着目したのです。
アメリカの頭の良い仕組みと日本の対応
アメリカは賢いシステムを構築したものだと、批判的な立場から私は感心しています。
アメリカは米国債をどんどん刷り、米国の借金を増やし世界の金(カネ)をアメリカに流入させたのです。アメリカはこの金を上手く使い、経済発展を実現させました。アメリカが外国からの安い輸入品を購入するので、アメリカに物を売る立場の相手国も輸出でメリットを受けハッピーです。かつての日本や中国などのように、輸出でメリットを受けた相手国が、儲けた金でまた米国債を買います。そしてアメリカでは需要に合わせてさらに国債を刷る、というアメリカにとっての善循環になるのです。債券を刷り現金をばらまく作戦で自国が繁栄を享受する方式です。モノとは関係なくカネがカネを生むアメリカにとっては好都合なシステムなのです。
その考え方は今も根底で踏襲されているのではないかと思います。こう考えると、最近のアメリカの戦略の裏側が見え透いてくるようです。
ここ数年で、世界のGDPの3~4割を占めるといわれるアジアの市場にアメリカが深く関与・開拓し、多少極論すると、そこから富を奪う作戦ともみえます。それを実現するために、アメリカは市場開拓のためのルールを、時に簡単に変えてきます。
彼らはまずカネをばらまきます。相手国が喜ぶのも束の間、次にそれ以上のカネが自国に流入する論理を前面に出して、いろいろな経済交渉をしてくると思います。
日本も参加するか否かで国論が統一されるところまでは至っていませんが、TPP交渉も含めてアジアの舞台でアメリカがこの様な姿勢で臨んでくるのは、彼らの論理からすると全く不自然ではなさそうです。
問題は、これに日本を含むアジア各国がアメリカの論理にどういう戦略で臨むのかという、こちら側の問題となります。政治に、このような認識と交渉力量を望むのは私だけでしょうか。
今、日本の政治は何の戦略も打ち出せず、停滞しているように私には見えます。スピード感と、アメリカ的手法でない我が国独自の戦略構想が見えません。「これからの日本」の発展のために夢のある将来像を打ち出してもらいたいと望みます。
あなたは本当にアントレプレナーですか?
最近、これから起業されようとする方々、最近起業された方々にお会いする機会が多くなりました。彼らとの接点で、一部の方に気になることがあります。残念ながらこれでは会社も社員も「わくわく元気」になれないのではないかと危惧します。
「たられば」でない起業家の覚悟と気魄
「自分は起業するのだ」というアントレプレナー的な精神が欠如していることです。もちろん、起業を支援する側の姿勢にも大きな問題があると思います。
しかし一部に、起業する本人がやたら頭でっかちの理論先行で、汗を流す姿勢があまりみられない人がいるのです。「会社が立上れば後は何とかなる」と、ベンチャーキャピタルなど人の資金をあてにしたがる傾向もみえます。
一番重要な顧客開拓も、協力先や他人任せの「たられば」的な机上の計算ばかりです。マクロ経済の指標が連ねられた資料ばかりが目立ちます。その人に、必死になって会社を立ち上げようとするマインドが欠如しているのが気になるところです。
また、ビジネスプランの中にきらびやかな横文字の単語が沢山出てきます。確かに美しい言葉です。しかし、これに酔いすぎてはいませんか。覚悟や気魄がない限り、本気で助けてくれる人は世の中に少ないと思いますが、本人は気づいていないのが残念です。
特にアントレプレナーの時代には、きらびやかな言葉にも増して、このことを実現していく力、何があってもそれを克服できる力を飽くことなく蓄え、まずは社員の給与をキチッと払い福利厚生を充実した状態にするため、自らが汗を流してもらいたいのです。
貪欲なアントレプレナー的な気概の持ち主の例
2012年2月、著名な指揮者、沼尻竜典氏のコンサートの後に行われた奥泉光氏(1994年、第110回芥川賞受賞者)との対談の中で、沼尻氏の「私はフリーターです。頼まれれば断らずどこへでも行きます。ただし、顧客に媚びることはしません。」という言葉が印象的でした。
こんなに著名な演奏家でも自分の軸をブラさない範囲内で、貪欲なアントレプレナー的精神を持ち続けているのが印象的でした。顧客を大事にし、貪欲に顧客に対応し続けない限りおって顧客から見放され、自己のポジション・アップができなくなることを一番良くご存じではないかと感じ入りました。若い経営者は見習ってもらいたいくらいものです。小金を稼げるようになったからと調子にのらないように。
「農耕型企業風土」づくりで会社を中期的に成長させる選択
本気でチャレンジしているアントレプレナー的な経営者を、なんとか指導していきたいとの私の思いで、「わくわく元気会」を発足させ活動を開始しました。また、経営者が早く会社を成長させ世の中で大きな存在意義を果たせるようになってもらいたいとの思いから、このコラムでも実際の場面に則して、経営者の心構えなどのヒント出しをすることで指導をしています。
起業をした後、会社の成長・発展を実現するための経営ルートにはいろいろな道があると思います。それらの中で、自分の経営実体験を通じて、「農耕型企業風土」づくり(参、『これからの課長の仕事』、『これからの社長の仕事』)を通じて会社の中期的成長を図る経営ルートを、私は選択されるよう推奨しています。
起業家の一番のサポーターは社員です。
この社員とともに一致団結して会社の成長を目指していく方法です。経営者が自己の知識と知恵をもとに会社を運営できると最初は自信を持っていても、所詮そのエネルギーには限界がでてきます。少し会社の規模が大きくなると、突然いろいろな問題、課題が噴出してきますが、この時に会社の成長路線が揺るがないのは、最大のサポーターたる社員、一緒に汗を流して努力してきた社員の存在と彼らとの信頼関係があるからです。
「農耕型企業風土」づくりを通じて企業を成長・発展させる「フォーミュラ」も、経営者と社員との信頼を築くための各種方策を本の中で明示しましたので、ご参照ください。
まず、エンジンをいきなりふかすのでなく、助走運転のステップを踏むことを推奨しています。この間に何をするかです。起業家は自分の「夢」や方向性を具体的に示し、賛同を得て、まず社員と一緒に実績をつくることです。実績をつくるということは、顧客を持つことです。企業であれ個人であれ、優良な顧客を獲得するという実績をどうやって早く示せるかで、一緒に仕事をする社員の信頼度の大きさとベクトルの結集力が変わってきます。
このように、「社員の幸せ」と「顧客の願望」を少しでも実現することを念頭に置いて、色々な施策をステップを踏んで打ち出すヒントを示唆しました。
冒頭、「たられば」的な発想を戒めたのは、この理由からです。是非、真の意味でアントレプレナー的気迫と信念を持って経営してください。
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