人材育成 / 折々の言葉
人を育てる-営業人材の育て方(2)
営業として必要と考える力についての前回からの続きです。
3.お客様が得をすることを事実で呈示できる力
Aランク入り、すなわち購入の最終段階になったお客様に選択の自由度を与えても、なおかつ決断に至らない場合が沢山あります。当然のことです。購入する商品やサービスが高価で、しかも、会社にとっての重要度が高ければ高いほど、お客様はこれまでの提案内容や営業マンの発言の裏付け事実を望みます。
この営業マンは、その購入をすることによりお客様が得をすることにつながるということを、事実で示さなければなりません。この場合、他社での実績や本人の納得感は何にも代えがたいものです。
「是非、xy会社にご確認ください。」と、まず第三者から実績を証明してもらうことです。「スケールを落として一度トライアルをしてみませんか?上手くいく自信がありますが、万一ダメな場合は一部の費用をご返金しますので。」などお客様の感情に訴えつつも、納得感を持ってもらいトライアル事実で自らの営業行為の正しさをお客様に呈示する力を蓄える訓練を必要とします。
4.何を売るかを考える力
昔、私が関係していた会社でのサービス商品の一つに「xxシズル」の名前を冠した海外向けのある商品を持っていました。事情により海外展開を断念せざるを得なかったので、この商品も発売を止めましましたが、この商品感覚を以後も非常に大事にしていました。
ステーキが「ジュージュー」と音を立てている状態で自分の席に出される場合がありますが、この状態を「シズル」と言います。すなわち、ステーキを出すというより、この「シズル」感を店の売りとしてお客様を魅了することを営業に伝えたいのです。 あらゆる商品にシズル感は隠されていると思います。
このシズル感を営業マンがどうお客様に提供できるのかが、営業の良し悪しに関係あると考えます。業界や業種により商品は違うとしても、その商品自体と伴に、利用にあたっての臨場感をお客様の感性に訴求させる力の有無が営業の勝負ではないでしょうか。
5.一つの事象に他のことを添える力
これも営業指導の中に入れていました。お客様から受けた注文に対して注文の範囲を超えた何かを添えてお客様に応える力です。
杓子定規に注文の範囲を絶対超えない売り方もありますが、注文商品の枠を超え、何かを添えてお客様をひきつけるのもこれまた営業の力です。
注文サービスに添えて、注文の仕様外の分析資料を添えるなど一つの例です。個人の誕生日に「おめでとう!」との声に花束を添えられるとうれしく思うのと同様です。添えるには相手側が「!!」と驚くようなものが望ましいでしょう。添えるものは、先ほどのように分析資料というものであったり、先々のことを見越した参考データであったり、お客様の置かれた状況に即して添えるものを考えたいものです。
6.声の調子に幅をもたせる力
穏やかな調子のいつもの営業トークも、何か決定的な段階では明らかに声のトーンに変化を持たせる工夫です。商品によっては、お客様はごく短期間に購入の決断をします。そのようなタイミングになったとき琴線に触れるフレーズを、声の調子を変えて発することです。
私の例ですと、大きなクレームの処理提案の時でした。お客様が困惑され一緒に何かの解決策を至急見出そうと議論している最中のこと、お客様自身からあるヒントをいただいた時のことです。「それです!それを解決のコンセプトの中心に据えて、処理スキームを至急一緒に練りましょう」と、声のトーンを普段と全く変えて説得し、お客様の決断を得た記憶があります。余り人為的ではまずいのですが、声の調子に幅を持たせ、お客様に訴える力が欲しいものです。
以上、営業人材が身につけるべき力について触れましたが、ご参考になれば幸いです。
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