折々の言葉
「リーダーとしてのマインド」(1)
社会に何を築いていくかの根本的マインド
「儲かる会社」、「儲かる事業」などという表現をよく耳にします。
会社としての最大の目的が、たくさんの顧客を発掘して、結果として利益をあげることだとすれば、「儲かる」ことは当然の表現です。会社を支える株主を考えれば、所期の利益を上げ、「儲ける」のはリーダーとして最小限必要なことです。
しかしながら、これだけで十分でしょうか?
リーダーにはもっと大事なことを目的の一つにして欲しいと私は考えます。
その会社が業界の中でどんな新しい橋頭堡を社会のために築いたか、築いていこうとしているかが大事なことではないでしょうか。
リーダーにはある種の野望があります。この野望が単にリーダーの私利私欲でなく世の中を変革して新しい何かを築いていくことになれば、これくらい幸いなことはありません。
長いスパンで考えると、結局はこのことがその会社の価値を決めることになるのではないでしょうか。
リーダー人材づくり
社会のために何を築くのかの内容は、リーダーの野望やその事業が置かれた業界や業種によって違いがあります。
私は、いろいろな過程を経て、「人つくり」で社会に橋頭堡を作るのが一番と考えました。しかも、自分を高めつつも、集団のことに配慮し、人の心に情熱と安心感を抱かせることができるリーダーになれる「人つくり」です。
このような「人つくり」こそ、今の時代に必要だと確信しています。
私個人はHow-toにたけた「人つくり」ではなく、上記のような「リーダーになれる人材つくり」こそが、一番の社会貢献になるものと考えています。多少コストがかかってもこのような「人つくり」に重要なターゲットを置き、これで会社の社会的価値づけをしようと考えて経営していました。今もこのスタンスは変わりません。
ここで私が目指す「リーダー人材」になるには、具体的にどういうマインドを持ったら良いのでしょうか。
1.顧客密着を徹底するマインド
私が事業で常に発想していたのは、自社の商品が本当に顧客に受け入れられているのかを常に振り返ることでした。
売れないのはあくまで現象で、顧客に受け入れられていないその背景があるからだという根本的認識です。
顧客の要望を、いろいろなチャンネルを通じて把握することから始まります。汗をかく地道な仕事になります。
それでも顧客の声を聴き続けると、「顧客に受け入れられているはず」という社内の力のある部門の一言で全てを通してしまっていることが、意外に会社の成長を大きく妨げているかを如実に反省する瞬間に遭遇します。
2.集団の知恵を生かすマインド
同様に、自分の会社が社員にどう映っていうのかを、経営側として常に気にしていました。今もそうです。
これは社員に媚を売ることを言っていることではありません。
経営陣、社員、取引先などの共同体組織がたまたま会社の形態をとっているという理解から発想しているからです。
会社の内容が社員によく映ることは、彼らの脳の回転を積極的にすることにつながります。全員で協力して会社をさらによくしていこうという発想につながります。結果、顧客に受け入れられることにつながるのです。
特段大金をかけて「社員満足度xx調査」などする必要性などありません。社員への映り方の把握のために、有益な情報は社内のそこら中に沢山落ちているからです。
施策が社員にどう受け入れられるか、どう映っているかを出発点とし、集団の知恵で創意工夫をこらしPDCAを回して、自社の商品を買う側、利用する側の視点で、皆で改善することにつなげていきます。商品の開発も、顧客の要望をどうくみ取り自社が顧客と一緒にいかに繁栄していくかの社員の視点を基本とします。
3.何に差異化を置くかのマインド
さらに、差異化をどうするかを重視しています。この発想がある限り、「景気の波が・・・」と他のことを理由にする議論から少し距離を置けることになります。
景気の悪い時期をプラスに利用できる発想もでてきます。
皆が苦しいこの時期、自社も苦しい。
しかし、逆手に取ってその期間に自社の差異化に時間とエネルギーを費やせば、競合より相対的メリットが多く出せます。
一例として、競合に先駆けて顧客をサポートする体制をどう作るかに、景気が悪いその時期にこそ取り掛かる。このことがどれだけの大きな差異化になるのか、実は、その時より後になって分かることなのです。
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