園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

語り継ぐ経営

理と情

Posted on 2015-02-19

 私は欧米人と日本人の思考パターンには、根本的な違いがあると今でも考えています。

 最近はグローバルな付き合いが必要になるので、日本人でも一見欧米人的な行動を起こす人がいますが、その人の心の底に流れている本心は違うのではないかと考えます。一般的に日本人は、考え方や行動の根底に、理より情が優先的に流れているように思います。

 アメリカでのある会議での体験を、私は今でも忘れません。理と情の違いが決定的に出ていると感じた体験です。

 顧客との大きなトラブルが発生し、会社に少なからぬ損害を及ぼしかねない事態が発生しました。この原因を作ったと思われる本人が必死でトラブルの修復活動を行っている矢先に、各国から6~7名集まった幹部の会議での議論が私の体験です。

 

原因究明優先か?

 トラブルの原因について、アメリカ人とイギリスやオランダからの代表の意見が違い、激烈な議論が延々と戦わされていました。その最中の私の発言です。

 私は、「そんな議論をしても、いまさら仕方ないことでしょう。その原因がどのこうのと言うより、改善に一生懸命やっているその人の頑張りをサポートする方法を今考え、彼の修復活動の部分を褒めて応援してやらねば、結局顧客を失い会社が大変なことになりますよ。」と、仮にその人が原因を作った主人公だとしても、彼がその改善に全力を尽くして努力しているとしたら、トラブルの早期収斂に重きを置き、彼をサポートすべきと主張しました。

 勿論、原因究明こそ大事なことは分かっていますが、頭を下げてクライアントに謝り改善に努力している姿勢の方を優先した発言です。平均的な日本人には、私のような行動パターンを取る人が多いのではないでしょうか。

 加えて、議論の中で感じたのは、彼らがトラブル修復に関するその会議体での決定が、彼ら自身にどんな影響をもたらすかに非常に神経質なことでした。組織としてクライアントの離脱を防止しなければならないのに、組織よりも自分のメリットを優先しているのではないかと感じる発言も多数あったことです。

 

理か情か?

 この議論から特徴的に感じたことは、第一に、彼らは、理(ロジック)にかなっていないことには賛成しないことです。勿論、情の部分について彼らも分かってはいますが、原因を延々と議論しなければ納得しないほど、欧米人にとっては、理が情に勝るのではないかと思いました。

 

個人の利益優先?

 第二に、常に自分自身のことを考えていることです。彼らも当然組織に属しています。しかし、優先するのは個人の利益(ベネフィット)です。会議体での決定が、自分自身にとってどんな利益、ベネフィットをもたらしてくれるか、不利益をもたらさないかをまず発想する思考経路を、欧米人は本質的に持っていることです。

 このように、我々と、少なくとも私と発想の根底に流れるものに決定的違いが見受けられます。

 

日本人の精神性

 極論すると、ダメもとで相手を刺激して、結果として自分に有利な落とし方を狙う発想につながります。

 このやり方は、現在進捗しているTPP交渉でのアメリカ側のやり方に象徴的に出ていると思います。選挙民の票を意識し、ロビイストのプレシャーもあるとは思いますが、少しは相手のことを慮る我々日本人の発言や行動とは、明らかに異なります。我々は決定的なケンカを避けて和を重んじます。

 また我々は、このような場ではまかり間違っても自分個人の利益をベースとした発想は一般的にはしません。その決定で、自分自身より自分の属する組織や集団が変な影響を受けないかの思考回路が優先的に働くようです。

 これを日本的だと批判されるかもしれませんが、そもそも日本では、どんな機能図や組織表を作っても、それはそれとしてそれよりも人間関係を重視した行動を見ることになり、しかも、組織を超えた助け合いが発生します。上司が命令するまでもなく、人間関係が良好な場合、困った部門に対して組織の枠組みを超えたサポートをします。

 権限が曖昧だからと、これを一部の人は批判しますが、私は、日本人の本質的なことだと思います。権限などの人工的な枠組みを超えた日本人の精神性の一つだと思っています。

 勿論日本人も、理を追い求めることをやろうとすればできます。しかし、その先に何があるのかが、潜在的に日本人は分かっているからこのような発想をするのではないでしょうか。

 

 

豊富にアイデアを生むためには

Posted on 2015-02-12

 「アイデアがなかなか出てこない!!」と、悩む人がいるかと思えば、湧き出すほどのアイデア出しに恵まれている人も見かけます。私の近くの経営者の仲間にも、本人のアイデアが豊富過ぎて、社員が追い付けないほどの人もいます。

 勿論、アイデアが豊富なことと経営が上手いこととは直結しません。アイデアを活かす方法が下手な場合もあるかもしれません。このように活かし方が問題になるとしても、アイデアが豊富な人の方がビジネス上良い機会に恵まれる確率が高いと言っても間違いではないと思います。

 

「場」

 では、どうやったらアイデアが豊富に生まれるのでしょうか?

 私の経営体験から言えば、アイデアは突発的に出てくるものです。例えば、電車の中、お風呂の中などでアイデアが浮かぶことがよくあります。

 確かにこのように突発的に出てくることが多いとしても、その前段階でアイデア浮上のトリガーとなるある種の環境が必要ではないかと思っています。

 

環境

 その環境とは、異なる考え方を持った異分野の人々が参集して会話ができる「場」です。

 このような「場」で、何かが一定期間頭の中で醸成され、ある種のトリガーがきっかけとなり、現象として電車の中やお風呂の中で、突然アイデアとして出てくるのではないかと思います。無から何かは生じないからです。

 

フィレンツェの例

 昔、視察団の一員としてイタリアのフィレンツェの街を訪問したことがあります。15世紀のルネッサンスを起こした場所です。ここに金融業で財を成したメディチ家の関連の有名な美術館がありますが、周辺にも沢山の建築物や彫刻があります。街中の教会には著名な絵を観ることができ、時間を忘れるほどです。更に、ここから哲学や科学の新しい流れも生まれています。この土地で、よくぞこれほど沢山のアイデアが生まれたものだと感激しました。

 多種多様な人々が当時フィレンツェに集まる誘因があったのでしょう。すなわち、新しい知識や技法などを議論しながら学べる魅力的な「場」が、ヨーロッパ各地からの人々の交流の交差点として機能していたとしか言いようがありません。この「場」をつくったメディチ家の貢献が大きかったことになります。

 

現代の日本

 翻って、現在の日本を見ると、人々が新しいアイデアを生み出す誘因となる交差点に遭遇しにくい状況にあるのではないでしょうか。違うことを尊重し、そのもとで交流し議論できる「場」を作れるリーダーが少ないのかもしれません。あるいは、一般的に今の日本人自身が過去の成功に安住して、そのような新しい体験を欲しないからかもしれません。過去のパターンを踏襲して生きる方が楽です。

 何かを考える時、人は過去の出来事を想起します。人間の頭の中で反射的に作動するこの回路が、頭の中で動いているのです。ます。そうなると、体験や交流の少なさからくる新しい刺激の減少と相まって、想起するアイデアが益々貧困になり、これではアイデアの新規性は生まれなくなる悪循環に陥ります。

 

アイデア出しの豊富な人の共通点

 「場」の環境を考えてみると、アイデア出しの豊富な人には彼らが体験した環境に共通点がありそうです。

・まず彼らには世界中の異分野の文化に触れた経験があることが多いです。

 海外留学、遊学、海外で就業、海外旅行等なんでも結構ですが、数年損したつもりで、できれば若いうちに、このような体験を増やせる社会環境や教育制度を充実したいものです。

・第二に、既成の教育には無い学び方を経験している人です。

 普通の教育ルートに乗らず、これをはみ出して違う学びのルートを歩んだ人の発想に感服したことがあります。違う交流の場を体験した人の発想です。これも教育制度と関係しますが、一本道でなく複数の道も許容できる制度を主流として多様な価値観を持った人々の集団としたいものです。

・第三に、違う視点に立って物事を見る人です。

 道理にかなって物事が動いていたとしても、「何故?」と立ち止まる余裕のある人です。このような人は、違う角度から物事を見る努力をしています。ただし、意識してやらないと、先ほどの過去のパターンの踏襲の罠にはまりやすいので意識的な努力が必要です。

・第四に、自らの行動パターンを時々変化させている人です。

 行動が思考に少なからず影響を及ぼすのではないでしょうか。新しいアイデアが浮かぶ違う舞台で踊ってみることです。

 以上の通り、異分野間、異文化間の交差点こそアイデアの宝庫と見ます。この環境でこそ異なる概念や発想に出会い、卓越したアイデアが生まれる機会が多く自らのビジネスマン人生が更に豊かになるのではないでしょうか。

 

海外でのビジネスこそストレスに強い人材を(2)

Posted on 2015-02-05

前回の続きです。

ビジネスチャンスを活かすには

 では、その地域で各会社やビジネスマンがチャンスをどう活かしていくかです。

・他の項でも書きましたが、前提として、会社として俊敏な動きが出来なければなりません。いざという時にすぐ行動に移せるように、マイナス資産などは早期に切り捨てて自社の資産内容を身軽にしておくことです。海外で展開するからこのことが肝心だというわけではありませんが、特に、海外でのビジネスには動きを制約する要因を少なくすべきです。私の友人などの会社では、不良資産を整理して資産を優良な流動資産に集中させ、海外での投資活動をする体制を整えているほどです。良い案件があれば俊敏に動くためです。

・経営者の思考も、自分の任期中の業績のことのみを考慮した短絡的なパターンを海外展開に持ち込まないことです。短期的な利益を上げるために人員削減で乗り切っている経営手法は、まさに短絡的施策の代表です。むしろ南の地域のマーケットでは、人員を上手く活用して現地にマッチした新しいことを創造しようとする積極的なマインドが望まれます。

・勿論、新しいことをするにはリスクがつきものです。特に、このような南の新興の国では、日本でのビジネス・リスクの想定を超えるリスクも多くあります。このことを前提にビジネス選択、パートナー選択などを適正に終えたら、次は、小さく着手して試行錯誤し、状況を読みながら次へ果敢に進むことをお薦めします。ビジネス企画の試行錯誤を繰り返し、企画を実践に移したらPDCAサイクルを早く回して取捨選択のレベルを上げ、新しいビジネス機会を逸しないことが、このような地域でのビジネスの成功の秘訣だと思うからです。

 

ストレスに強い人材

・上記のような点を踏まえながら、まず人材の準備、生産のための原料の調達、販路の開拓などいろいろな準備をしなければなりませんが、ポイントは人材だと考えます。このため、リーダーとなる人材を送り出す企業側で、普段から内部人的資源の強化に努めておかなければなりません。

 ストレスにも強い自律型の人材が必要となりますので、普段の仕事場でこのような人材が育つ環境を整えておく必要があります。現地ではストレスが確実に大きくなるからです。困難な状況への適応力、それに伴うストレスからの回復力、災害時の復元力、これらが強くなければ現地での競争に勝てません。

 例えば、統制でなく仕事の魅力をつくり、自由に仕事をさせ創造マインドを持たせる。社外との垣根を取り外、しノウハウの交流を通じて視野を広くさせる。プロジェクトを本当に任せ、結果に責任を持たる。国際的な非営利団体への貢献のための参画など本来の業務とは別のことにも取り組ませ、幅広い経験をつませるなど、多少のストレスがあってもこれを自らの知恵と判断で克服でき、自分で考え自分で課題を解決できる幅広い識見を持った人材が育つ環境が必要です。このような環境でこそ、自律的なリーダーとしての心構えと行動力が備わってきます。当然、彼の仕事への対応のし方も変わってくるはずです。

 

現地の慣習に溶け込む

・現地に派遣されたそのリーダーは、異なる環境や文化に遭遇することで価値観の多様性に気づきこれを高められるメリット、更に、違う考え方の組み合わせで新しいアイデアをものにできるメリットを享受できるかもしれません。

 しかし、同時に彼が留意すべきことも沢山あります。

 商売のやり方、慣習も違います。日本では当たり前と思うことが、当たり前ではないことに遭遇します。イベントなども日本でのやり方をそのまま持ち込むのは危険です。現地向けにカスタマイズしなければなりません。日頃から現地の社員と緊密な関係を持ち、商売のやり方、イベントの方法なども現地に合わせたやり方に修正する知恵を備えなければなりません。

 ストレスが溜まると、「どうせ分かってくれない」とすねて、自己嫌悪に陥りやすい傾向がでます。これが自らと現地の人との壁を作ってしまいます。そのようなことを回避すべく現地に溶け込むことが先決です。一般的に、日本人はあまりプライベートなことを話したがらない傾向がありますが、溶け込む工夫のために、現地の社員に自分や家族のことをオープンに話し、現地の人の習慣に入り込んで壁を失くすなど、小さいことでも結構ですので、自分のありのままの姿を分かってもらう努力をすべきです。

 

いざという時の準備

 日本の優秀なビジネスマンが地球の南側に機会を求めていくのは、制度や労働人口などのデータ上、自然の成り行きです。この地域で思い切りぞんぶんに仕事をして成功していただきたい。そのため、ビジネスマン諸氏、今の内からストレス耐性を強くして、いざという時の準備をしていただきたいと考えます。

 

海外でのビジネスこそストレスに強い人材を(1)

Posted on 2015-01-29

 昨年の秋、友人の誘いでマレーシアに行ってきました。ゴルフ中心の1週間余りの短い滞在でしたが、現地の雰囲気や現地の人から見聞きするうちに、日本にいる優秀なビジネス人材が、今後どこで活躍するチャンスが多くなるかについて、実感を伴った確信を得て帰りました。

 

ビジネス上、魅力ある地域アジア

 今や海外に住む日本人は、2011年10月時点で118万人と5年前に比較して11%伸び、北米に45万人、アジアに33万人在住していますが、アジアでは5年前に比較して19%伸びたと、ある報告書に書かれています。この数字はビジネスマンのみではありませんが、これまでの傾向からすると、大多数がビジネスに関係する人とみて間違いはないと思います。

 この傾向が強くなる背景の一つに、為替レートなどの問題を除けば、そもそも制度上の理由から日本でビジネスを展開する魅力が薄れているとみられないでしょうか。

 政府は、消費税ばかりか所得税の率を現在の最高税率40%を、平成27年分から45%に引き上げることに決めました。これに住民税を加えると、一般の日本人の税負担感は、非常に高い状態です。今年から相続税の最高税率も引き上げられる、税計算の控除額も縮小されます。日本にとって一番増やしたい層、いわゆる中間層を狙った税金の増収策としか考えられません。

 法人税についても、最近これを漸減する案が出てきているにしても、未だに海外の各国と比較すると、日本の税率は高く、法人の実行税率が40%位になっています。他方、マレーシアの隣のシンガポールでは17%、加えてこの地ではエンジェルが多く資金調達が容易で、ビジネスをする企業にとっては魅力的な国です。シンガポールは総人口543万人の内、外国人が38%、都市で言えば、ロンドンが50%超、ニューヨークが34%と言われているのに対して、東京の外国人比率は3%です。

 これらの数字の一面に、どこでビジネスを展開したいと思うかのビジネスとしての制度上の魅力度が出ていると、言えないでしょうか。相対的にみて、日本は税制上、魅力に乏しいのです。

 また、ビジネスにとって重要なのは労働人口です。日本ではついに労働人口が8,000万人を割りました。世界地図上、労働人口が集中する場所も変化してきているデータがあります。世界全体では労働人口が2010年から30年までに8.4億人から約8億人に減少するのに対して、アジアの南を含めた新興国ではこの間、10億人増えて46億人になるとのことです。

 当然、労働人口が集中する場所の変貌により、新しいビジネス、革新的な事業が生まれる場所も変化することになります。

 各国政府の政策展開により浮き沈みがありますが、労働人口が増加する中国、インドなどのASEAN各国、ブラジルなど地球の南側に、ビジネスチャンスのトレンドが移行してきています。このような国では、高い利益率をもたらす案件も当たり前なのに、日本では数パーセントの税引利益を出すのに四苦八苦している企業が多く、大きな違いがあります。それほどASEAN主体とした地球の南ではビジネスのチャンスが多いのです。

 これらの地域には、ビジネスのチャンスが多いことを嗅ぎ付け、有能で高度なスキルをもった人材が世界中から集まってくる善循環をもたらしています。この結果、この地域では新しいビジネスを生む環境が他の地域より増すことにもなります。

 

現場力を出す組織にする

Posted on 2015-01-22

 情報化時代の現在においては、特に、リーダーと現場との関係でリーダーや組織の在り方に大きな変化が生じざるを得ないと、私は考えています。

 産業革命からつい最近まで、ほとんどの仕事は積み上げ方式でした。この場合、先輩から受け継いだ経験がモノを言う、時代背景を前提とした組織構造が適していました。この組織では、指揮命令系統を表すピラミッド的な階層が必要で、組織が機能ごとに枝分かれし、その組織をリーダーが引っ張るというものでした。

 

情報化時代の組織と現場の特徴

 ところが情報化時代になってから、仕事に於いて、経験よりも創造性が重要になってきています。ほとんどの情報は階層に関係なく平等に開示されるので、情報格差をもとに組織を管理することの意味が失せてきています。

 このためリーダーと現場の関係で、組織も変わらざるを得ません。

 リーダーは強力な力で引っ張る指揮官ではなく、社員、顧客、時には競争相手とも協調しながら会社を成長させる意思、能力、更にコミュニケーション力豊かな指揮者的なリーダーシップを持つ必要になると考えます。他方現場も、この時代背景に応じて変化を求められます。

 過去にも、「現場こそ・・を」と言われていました。この場合の「・・・」はルーチンを保持しながら、継続的に業務をキチッと遂行する場であるとの意味が強かったのが事実です。現場が高品質の商品を生み出し、日本の産業を引っ張る原動力となっていました。しかし、今や新しい意味での「現場こそ・・・」が求められていると考えます。

 

「現場こそ・・・」の意味

 それは私が主張している「農耕型企業風土づくり」の中で述べた、躍動する知恵の塊の現場組織です。詳細は、『これからの課長の仕事』や『これからの社長の仕事』に譲りますが、

 この現場組織の特徴は、

・自分が得意とする分野の能力を伸ばせて、そこで競争できる環境がある組織

・経営側が決めた事業の計画に単純に従うのでなく、社員の要望・願望などを社員が自主的に織り込んでいける計画をする組織

・経営側と社員の共通するミッションに取り組むため、一緒に課題を解決できる組織。

・夢を共有し、現場の力を将来に向けて結集できる組織

・社員が会社の方向性に関心を持ち、その目標に向かってベクトルを結集できる組織。特定の幹部層のみでなく、全社員の力を結集できる組織

・あらゆる機会をとらえて現場の持てる潜在力を発揮させる組織

・男女間の格差が無く、全員が評価されていると感じる評価方式と報酬の分配をもつ組織です。

 要は、社員個々人が自分の人間性に忠実に生きる働き方ができる環境をリーダーが与える組織、結果として、現場の知力を更に高めることが出来る組織です。

情報化時代の現場は、対話を通じて部下を知り、彼らを育成しながら集団でイノベーションを起こせる主体という意味で、組織的に知を結集できる価値の創造の主体になると言っても過言ではありません。

 

価値を創造、高度化する現場組織

 上記の通り、企業としての実質価値を増加させるのは、現場の組織です。従って、リーダーには、現場こそが知を創造する主体であるとの認識が不可欠になります。

 価値を付加したり、新しい価値を創造したりするには何か特定の方法があるのでなく、自由闊達な環境下で日常の仕事の実践や違う現場との真剣な話し合い、他部門の業務の経験などが必要なります。継続的にルーチンを保持しながらコツコツと日常の仕事を弛まなく積み重ねていくうちに、価値が生まれると考えます。

 それほど、私は現場を大事にし、普段の仕事から新しいものを生み出す「現場にこそ真実があり」とまで言い切っていました。

 その意味で現場の社員は、上記の意識を持って「仕事をしている」か否かを問われることになります。また、現場に経営実態が全て映し出され「現場が経営の鏡である」としたら、リーダーを中心とした経営側も、情報化時代の変化に応じた組織運営ができる対応を真剣にしているか否かを問われます。