ビジネスマンの生き方
ビジネスマンの仕事上の「礼節」に関する本の出版
『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。』というタイトルの本を株式会社クロスメディア・パブリッシングから出版しました。全国の本屋さんなどで本日から販売されています。
ビジネスマンが直面する仕事と人間関係の問題。これを礼節と誠実さの視点から取り上げた、リーダーのマネジメント参考書となるものと考えています。日々マネジメントに努力されているミドルのリーダー層がこれを読み、更に元気づけられる本です。
執筆した趣旨を明確にするために、この本の巻末、「おわりに」を引用します。
本書では、「礼節」、「誠実さ」を、横軸と縦軸の関係で取り上げました。私自身がいろいろな失敗や成功体験から習得した知恵と人生の恩師から学んだことがもとになっています。ミドルマネジメントのリーダーが日常的に直面するもろもろの業務や事象を横軸にして、「礼節」と「誠実さ」をもった対応方法の具体例を縦軸に示し、この交錯するところでビジネスマンとして望ましいリーダーシップをテーマごとに浮き上がらせました。
ミドルマネジメントの任にあるリーダーのみなさん、「礼節」と「誠実さ」をもとにした人間関係を着実に築くことで、人望、信用というビジネスマンにとって最大の財産を手に入れてください。単なるハウツー的な手法やテクニックでなく、人間としてまっとうに生きるには何が必要かを学び、誰からも評価される魅力的なリーダーになってください。皆さんの人生、ビジネスマンとしての実績につながっていきます。
残念ながら、現在、「礼節」や「誠実さ」をもとにした人間関係が少し軽んじられていることを、私は危惧しています。合理性と効率を前面に出した経営手法に追いやられすぎて、組織内外の人間の関係性も乾ききってしまい、かえって経営全体の効率を下げていると思います。ある因縁で一緒に仕事をすることになった部下の幸せのために、礼節をもって誠実に一生懸命経営していかなければならない、というこだわりを私は持っています。上司たるリーダーが少しでも周囲の人に礼節と誠実さの模範を示すことが、人材の育成と成長に役立ち、会社に付加価値をもたらしてくれるものと考えています。
2013年の年末頃、ある人からクロスメディア・パブリッシングの小早川社長を紹介していただきました。ビジネスマンの「礼節」と「誠実さ」をもとにした人間関係とリーダーシップに焦点を当てた本の企画を熱く語る小早川社長に接し、常日頃「昔、あの場面で、ミドルマネジメントのA君が礼節を重んじ、こう誠実に行動しくれていたならなあ」といった思いを持っていた私は、正月から数か月で一気に書き終えました。
今回、この本を著すにあたり、手許にある「折々の記」(ベルシステム24の経営について内外で行った私の講演、講話などの記録)や、数年前に書いた『これからの課長の仕事』、『これからの社長の仕事』(ネットスクール出版)などを参照し、ヒントにしました。
2014月5月 木々が芽吹き、新緑の若葉を愛でる楽しみを味わいながら 園山征夫
以上が本の巻末からの抜粋ですが、ビジネスマンがリーダーシップを発揮するにあたって、「礼節」と「誠実さ」のあるマインドと行動が、これまで以上に必要とされるものと考えています。ご参考になれば幸いです。
したたかな生き方(2)
前回の続きです。
実質倒産寸前だった会社の経営を託された過程で、私は雑草の生き方と自分の経営方針に共通する何かがあると感じて雑草が好きになりました。そしてその生き方から、世の中の変化や逆境をどうやって味方につけビジネスマンとして生きるかの知恵を学ぶことになりました。
逆境を味方にする生き方
第一は、目的志向です。
目的が明快です。花を咲かせ、次につなぐことを目的とします。雑草は1年草ですから、寿命が短いです。でも短いが故にタネを残すまでに不測の事態が起こるリスク期間は少ないです。ある意味で1年草はもっとも進化した植物かもしれません。
会社経営で仕事のサイクルを短くして成功のサイズを小さくする、小さな目標、目的を確実に実現し積み上げて結果として大きくしていく志向に通じます。
第二に、分をわきまえることです。
どこで勝負をするかをわきまえています。先ほど述べたタンポポやオナモミはサボテンなどの育つところでは勝負しない雑草です。サメが沢山泳ぐような大海では勝負しない経営に似ています。
第三は、環境適応力です。
我々が食べるイチゴなどの作物は不適切な条件では余裕が無く、花が咲かず実がならないこともありますが、タンポポなどの雑草は不適切な条件であっても環境に合わせて体の大きさを変えてでも対応し、間違いなく春に花を咲かせます。
ビジネスもしかり。自分の商品を買わない方が悪いという発想でなく、環境の変化に適応していく力です。
第四は、No.1になる努力です。
自然界ではどんな生物でも自分がNo.1にならない限り長期的には生き残れないようです。沢山の植物が一つのニッチに住むのは結構難しいようです。そこで生き残って自分がNo.1になるために、自分に適したニッチな場所(生息領域)を何が何でも探す必要があります。そういう環境を探して生き、勝利した方が更に強く生き残れるからです。
翻ってビジネスの世界では、一つのニッチにたくさんの競争者がひしめき合っている状況を見ます。もっと、自分にしか適していないニッチな領域を探せばよいのに、と思いませんか?ここに知恵が必要となります。
第五は、タイミング、時を読むことです。
タンポポやオナモミの成功で一番重要なことは発芽のタイミングです。これらの種子は、時期が来るまで土中で準備しながらジッと発芽のタイミングを待ち、チャンスと見れば一気呵成に芽を出します。種子は光が当たることで芽を出します。タンポポは道路のアスファルトの割れ目であろうが光が当たる場所でタイミングを待って一気に咲きます。オナモミも山野の光が当たる場所を探し、時期を待って咲きます。
ビジネスしかり。人を得て、状況が良くても、時を得ないと勝負に負けます。経営の才の一つはこの「時を読む」ことにあります。
第六は、忍耐力です。
これらの草は踏まれたら立ち上がりません。地面に伏せています。彼らにとって最も大切なことは花を咲かせる目的を達成すること、その後タネを残すことです。環境に合わせて変化します。踏まれたときに立ち上がる無駄な努力をしません。ビジネスマンも耐えて目的を達成するまでこれぐらいの忍耐力を備える姿勢でないと本当の経営者に成長はしません。
第七は、Going-Concernの精神です。
雑草は、毎年必ず咲きます。忘れたころに花が咲く感じがしますが、これは人間がそう思うだけで、雑草自身はこのサイクルで毎期種の生存を続けています。ビジネスマンにもこのマインドを持って次の期へバトンをつないでいく努力が要請されます。常にこの準備をしていく必要があります。
ビジネスマンの生き方
ビジネスマンにも多様な生き方があります。大木として生きる、雑草として生きる。どちらを選択するかは、もって生まれた運命、置かれた環境、能力等色々影響すると思いますが、最後は、本人の考え方次第です。どちらが幸せか、これも自分の生き方をどう全うできるか否かにかかっています。この瞬間の積み重ねではないでしょうか?
したたかな生き方(1)
私は、タンポポやオナモミの生き方が好きです。タンポポはご承知の通り、アスファルトの裂け目や極寒の地という厳しい環境下でも芽を出し花を咲かせるほどです。
オナモミも特段好きな草ではありませんが、その生き方が好きです。場所によって呼び名が違うところがあるかと思います。キク科の草ですが、この草のタネの被害にあわなかった人はいないほど繁殖のツールを持っている草です。
小さい時田舎の出雲で、タネになる前のオナモミの果実部分を投げつけて遊んだ経験があります。学生時代、東京に来てもオナモミがありました。叢に入ると果実の周囲の沢山の刺が衣類に刺さり、取るのに一苦労した経験があります。テキサスのブッシュの中で野兎のハンティングに行った時も、オナモミの刺を洋服から取るのに苦労しました。すなわち、世界中に生育する草です。
両方とも生命力のある草で一般に雑草と言われています。私は雑草の花も大好きになり、時々これを写真撮影していますが、多様性のあるしたたかな生き方に興味があります。雑草は一見弱い植物に見えますが、上記のとおりその実は生き方がしたたかなのです。
自然界は我々人間が想像する以上に弱肉強食の世界で、その中で雑草はどんな過酷な環境でも生きていきます。耐えて耐えて生き続けます。ビジネスマンに例えれば、他の競争者が参入を尻込みするような業種、業界でも頑張るような生き方です。雑草のようにいわゆる名を捨ててでも耐えて勝つ生き方です。
植物には、自宅前の公園の欅の大木のように他の植物に競争で勝って生きる方法をとるもの、テキサスのサボテンなどのように他の植物が生きられないストレス条件下で生きる方法をとるもの等、雑草とは違う生き方をしているものもあるようです。どれが植物にとって良い生き方かは植物に聞いてみないとわかりませんが、そのしたたかさは人間の生き方にも少し参考になるのではないでしょうか。
ビジネスマンの多様な生き方
ビジネスマンも歩む生き方は多様です。皆さんはどれを選んで生きていますか?結果として、その生き方になったかもしれません。主義主張は変えないが、変えたふりをしてでも耐えて生き抜くしたたかな生き方をしている人も多いはずです。それもまた素晴らしい生き方です。
ところで私はその花は別として、雑草自体を最初から好きな植物の範疇には入れていませんでした。しかし、ある時から好きになりました。実質倒産寸前の会社の経営を託された過程で、雑草の生き方と私の経営方法に共通する何かがあると感じたからです。今振り返ってみると雑草の生き方から世の中の変化や逆境をどう味方にしながらビジネスマンとして生きるかの知恵を学ぶことになりました。
最近のコメント