人材育成
礼節と誠実さ
『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。』(クロスメディア出版)を書き終える直前の3月に、家内と輪島へ旅行に行きました。そこで漆工芸の素晴らしさに感服。
一つの漆椀を作るのに、24から100以上の作業工程を経て、輪島の漆工芸の品質を維持する飽くなき誠実な努力の連続。技術を伝承していくために、同じ工程を飽くことなく繰り返し取り組む職人の真摯な姿勢、礼節と誠実さに感服しました。工程で何かを省略すると、最終製品のどこかで品質にボロが出るのでしょう。このことは、他の国の製品との比較で実証済みであるとの説明も受けました。
最近、ビジネスマンの礼節や作法に興味をもっています。この視点から世の中のいろいろな事象を見ることが多いです。この視点から見ていくほうが、意外に事の本質に近づけるように思うからです。
一例です。小保方晴子氏および彼女をサポートする方々が発見したとされるSTAP細胞の存在の真偽などを巡って、理化学研究所と小保方氏の間のやり取りに、現象的に礼節の欠如が表れています。
理研の調査報告での最終発表をテレビで拝見する限り、自社の社員に対する礼節をわきまえた対応とはおよそ程遠い印象を受けました。小保方氏は、私の理解では、この調査報告の発表の時点で理研の社員です。契約の条件などは知る由もありませんが、研究所のトップも含めた理事側の対応が、誤解を恐れず言わせていただくと、そのインタビューが何となく犯罪者を扱うように聞こえたのは、私だけでしょうか。経営層が社員に対する礼節と誠実さの無さを露呈している印象を受けました。
片や、小保方氏のインタビューも一部拝見しましたが、その発言に研究者としての誠実さが見られなく映るのが残念です。 自分のやったこと、他の人の援助を仰ぎながらやったことの記録を残すのは、ビジネスマンとしては常識です。
ましてや、研究者が研究のプロセスを記録に残すのは、事実を訴求して証明するのに不可欠な道具のはず。これを研究ノートと名づけるとすると、その記入記載と保管などは、誠実な研究者ならイロハの部分ではないかと思います。STAP細胞が本当に存在するのであれば、特許申請などの事情があったとしても、可能な限り礼節を持って誠実に説明責任を果たすことが研究者として当然の責任だと思うのに、このことに疑問を抱かせるのは残念です。ビジネスマンがこれに類することをすれば、ビジネスマンの信用という一番大切なものを失うことになるからです。
礼節の視点から見ると、双方とも本質的な部分で何かおかしいと感じたのは、私だけでしょうか。
発想を変えさせる指示・質問の仕方
誰もが皆、発想を豊かにしたいと思っているはずです。そのためには、当然のことながら、まずもって自分自身の力が必要です。同時に、他の人の発想を豊かにする支援もあることを忘れないでください。部下を持つ身の上司たるもの、部下の発想を豊かにするために出来ることもあります。指示・質問を工夫することで、彼らの発想に変化がでるよう支援できます。部下の創造性をくすぐることです。
1.「考えさせる」ような指示・質問を出す
「この余裕のあるオフィススペースの有効活用を考えてくれない?」と質問。
質問する自分にはある考えがあります。しかし、これを具体的に言わないで、「・・・をしたい」のだがと、質問を投げかける。部下が自ら自分の壁を破ってその内容に挑戦するよう仕向ける方法です。
会社全体では、余裕のスペースを家主に返却するのが最善の方法かもしれない。しかし、これを有効活用することに自らの知恵を働かせ考えをめぐらせていく方が、全体としては遥かに前向きかもしれません。最善と思っていた一般的な方法を超えることを考える機会をつくる。最善に思えるかもしれない壁をいったん破り、この機会に彼らの発想を少しでも変えることにつながるかもしれないような指示・質問を出す工夫です。
2.「肯定的に考えるクセ」をつけさせるような質問をする
「俺が何回やっても上手くいかないんだ。君、良い方法を考えてくれる?」と質問する方法。上手くいかせるための前向きな方法を考えさせるように仕向ける方法です。上司がやっても上手くいかない、それを部下の自分が上手くいくような方法を考えるということに、皆奮い立ちます。上司を助ける名目で、物事を肯定的に観察させ、そこから前向きなアイディアを考えるクセをつけさせる、部下への練習になります。
3.ある程度の負荷をかける
「一週間で選挙の出口調査の最適体制を立ち上げてくれる?」と、短期間で選挙の出口調査の体制を立ち上げる指示です。通常では考えられない指示ですが、これを敢えてやる方法です。
全体計画、人員採用、投票所配置地図確認、ペンなどの調査道具の整備、調査結果の伝達方法、時間管理、危機管理などなど、全体が整合的に動くには相当の知恵が必要です。
これをだらだらやるわけにはいきません。事前に準備することも沢山ありますが、迫力感が無く何となく締まらない。しかし、選挙日程が正式に決定すると、即具体的な行動開始。多少負荷をかけることで、指示を受けた部下が新しい発想をする。短期間なるが故に、面白い発想が生まれる。
ある作家が「何となく良いアイディアは生まれない。一定のプレシャーをかけて初めてアイディアが生まれる」、という趣旨のことを書いていました。何事も一定の負荷をかけることが効果を増すことになります。
4.何か「違う解決法」を学ばせるための質問をする
私自身、意識して言葉を変えることにしています。これにより取り組み姿勢を変える工夫をするためです。その時の経験では、発想が積極的になりやすいことが分かりました。
言葉を変え姿勢を変化させる方法です。
この十数年、我々はデフレの言葉を聞き飽きてきました。この言葉から、積極的な発想が生まれそうには感じません。そこで、デフレの言葉を少し工夫する一例です。次の年に「賃金が上がる助走の時期」と言葉を変える。多少まやかし風に聞こえるかもしれませんが、言葉を変えることで、働く人の気持ちが少し変わることにつながるかもしれません。
何かの問題に直面した時、そこでとどまり悶々と悩むのでなく、解決に導く方法は必ず見つかるという発想のもとに、すでに刷り込まれているある種の印象を、言葉を通じて変えることで、違う解決法を学ぶ方法です。悩みだすとどうしても同じ解決法に行きやすいことを回避するためです。
5.いつもと「違うこと」に興味をもたせる
「テーブルや壁などを何色に変えたら気持ちよく働ける?一度考えてみてくれない。」と質問することで、彼らに考えさせる、コールセンターでの食堂の例です。
この場は、食事のためだけでなく、時に休憩のためにも使用します。ストレスのたまる仕事の息抜きの場ともなります。私は、空間や設備環境は仕事の効率と関係すると考えていました。その場のテーブルの色、壁の色等ストレスを軽減するために結構重要です。このような、色などに対する上司からの打診や指示は、彼らに日常的にはそう沢山きません。違うことに関した指示を出すことで、いつもと違う発想をさせることにつなげる方法です。効果の検証はしていませんが、それで違うことに興味を覚え、皆の発想に変化をきたすのではないかと考えています。
6.視点を変えさせる方法
「あと、10ブース増やしてくれる?」コールセンターの能力増強策での、指示というか質問でした。
全体のレイアウトが長年固定している中で、全く視点を変えて、全体のレイアウトに取り組ませる発想に導くためです。スペースの総枠を変えないで、更に10%増の10ブース(一般に言う仕事机)を追加する。これを実現するには、発想の視点を変えるしか方法はありません。縦に並んだものを、横や斜めに。更に、床と天井間の中間空間層を利用する斬新なデザインなど、視点を変える発想に導くことになり、柔軟な考え方が生まれる機会となります。視点を変え固定的な発想フレームを取り外すことになります。
このように意識して発想を豊かにする努力をしない限り、発想が固定してしまいます。特に、40代の方々でルーチンのジョブに精通し出した頃、ご留意ください。
グローバル人材へのステップ
ビジネスマンが国際的な場でリーダーとしての力を発揮するには、まず最低限、法務、経理、語学、IT、マーケィングの知識が必要とされます。経営者として多くの判断を適正にするには当然のことです。知識の深さは別として、これらの知識が経営判断を全体として助けてくれたことは、私の経験でも疑いの余地がありません。
しかし、これらは最低限必要。むしろ、幅広い教養や人間としての深みが、グローバル人材として要求されるのではないでしょうか。言語の違い、文化や風土の違い、民族、また、歴史の違いを明確に理解しながら現地の社員などとより良いコミュニケーションを取らない限り、ビジネスを円滑に展開することができません。
ビジネスマン自身が、自らどのようレベルアップに留意したら良いかを考えます。
Phase 1
学部か修士を卒業して30才くらいまでを想定しています。
この期間は、自分で基礎的なことを習熟する期間です。従って、与えられたことをキチッと遂行して求められる結果を出すことに専念してください。
この期間は、あなたが周囲からの信用を得られる人間かどうかの一定の評価が定まるときです。従って、とにかく仕事ならなんでも真剣に向き合い、決して手抜きをしないことです。周囲から「あの人は仕事が出来る!」との評価を得られればしめたものです。
仕事をしっかり遂行するには、各種のスキルが不可欠です。そのために、勉強の時間を取り、法律、経理、語学、IT等の基礎的なスキルの養成に、自己の資金を投資してください。以後のあなたの成長に大きく影響を及ぼすことになります。
Phase2
中間管理職として部下を持ち、上司の指示のもとに部門を切り盛りする時代、45才くらいまでを想定してみてください。企業の規模によって相当の差がありますが、平均的にはこの年齢かと考えます。
所属する会社内でのキャリアと自己の人生の先行きが少し見えてきた、と思える時期です。自分の判断ミスや部下の起こしたミスなどにより沢山の失敗経験を持つことになる時期で、100人いたら90人以上の人がマネジメントに失敗と試行錯誤を繰り返しながら学んでいる時期です。特に人間関系の複雑さ、出会いの偶然、自己の適性について悩みながらも歯を食いしばって頑張る時期です。経営層の一部に参画できるかのチャンスが巡って来る時でもあります。また、スペシャリストとして生きる決断の時期でもあります。
この時に一番重要だと思えることは、「自分らしさ」をどう見つけるかです。人間、それぞれ適正、能力、知識等の違いがあることが自然です。それらを自分で判断して、「自分らしさ」を表現するにはどうしたら良いのかを、真剣に考える時期です。
グローバルな環境で自己のキャリアをレベルアップするかの決断をするのも、この時期かもしれません。
Phase3
チャレンジングな時期です。40才から45才頃と想定してはいかがでしょう。
Phase 2の期間で自分を客観的に評価し、且つ、置かれた状況下で何が選択できるかです。ビジネスマンとして会社の指示通りに動くか、他のオプションを考えるかという観点で選択をする時期です。ビジネスマンとして、人生のスト-リーをある程度決めることになります。意思表示が重要な時期です。
会社内で中核的事業のために貢献するか、チームを率いて新規事業を立ち上げるか、不採算事業を立て直すか、海外事業展開に主体的に関与するか等の選択肢がありますが、自分が望むというよりは、会社の人事から命令されることが一般的です。
その命令に従わない選択もあります。起業です。それまでの経験や人的チャンネルをベースとして自分で事業を立ち上げるという決断もあります。日本でもこのルートに興味を持つ若者がもっと出てきてくれることを望みます。
「あの人のためなら・・・」と本気で皆から慕われるか否か、が決め手です。このような雰囲気を持っている人なら新しい事業の立ち上げもスムーズにいくと思います。この時期は、自分の人間的魅力こそが人を引っ張る力になることが分かる時期です。
ここでは勝手に国内と海外と職場を概念上分けて選択肢を探す道を挙げましたが、現代の世の中では現実的ではありません。何をやるにしても海外に人材の協力なくしては展開ができません。あなた自身、好むと好まざるとに拘わらず、違う言語、文化や風土、違う歴史的背景の人々と接点を持たざるをえません。40才から45才頃のこの年代だと、経営層の一部としての役割を果たす立場となるはずですので、一度自己採点してみてはいかがでしょう。
海外で、新規に工場を立ち上げる交渉ができますか?
海外の現地法人の社員を前に、英語で事業の方針説明をできますか?
海外でのトラブルや優秀な現地社員からの退職の意思表示、特に、一部の国では労働争議、関係する役所からの調査、などへの対応をどうしますか? などなど、項目は沢山考えられます。
どれもこれも一筋縄ではいきません。しかしながら、このようなことがスムーズに出来る人材が世界中で求められているのです。このような人材こそ財産ですから、あなた自身、今のうちから世界に通用するこのような財産を持てるように意思を持ち、訓練を積むことです。
人を育てる-営業人材の育て方(2)
営業として必要と考える力についての前回からの続きです。
3.お客様が得をすることを事実で呈示できる力
Aランク入り、すなわち購入の最終段階になったお客様に選択の自由度を与えても、なおかつ決断に至らない場合が沢山あります。当然のことです。購入する商品やサービスが高価で、しかも、会社にとっての重要度が高ければ高いほど、お客様はこれまでの提案内容や営業マンの発言の裏付け事実を望みます。
この営業マンは、その購入をすることによりお客様が得をすることにつながるということを、事実で示さなければなりません。この場合、他社での実績や本人の納得感は何にも代えがたいものです。
「是非、xy会社にご確認ください。」と、まず第三者から実績を証明してもらうことです。「スケールを落として一度トライアルをしてみませんか?上手くいく自信がありますが、万一ダメな場合は一部の費用をご返金しますので。」などお客様の感情に訴えつつも、納得感を持ってもらいトライアル事実で自らの営業行為の正しさをお客様に呈示する力を蓄える訓練を必要とします。
4.何を売るかを考える力
昔、私が関係していた会社でのサービス商品の一つに「xxシズル」の名前を冠した海外向けのある商品を持っていました。事情により海外展開を断念せざるを得なかったので、この商品も発売を止めましましたが、この商品感覚を以後も非常に大事にしていました。
ステーキが「ジュージュー」と音を立てている状態で自分の席に出される場合がありますが、この状態を「シズル」と言います。すなわち、ステーキを出すというより、この「シズル」感を店の売りとしてお客様を魅了することを営業に伝えたいのです。 あらゆる商品にシズル感は隠されていると思います。
このシズル感を営業マンがどうお客様に提供できるのかが、営業の良し悪しに関係あると考えます。業界や業種により商品は違うとしても、その商品自体と伴に、利用にあたっての臨場感をお客様の感性に訴求させる力の有無が営業の勝負ではないでしょうか。
5.一つの事象に他のことを添える力
これも営業指導の中に入れていました。お客様から受けた注文に対して注文の範囲を超えた何かを添えてお客様に応える力です。
杓子定規に注文の範囲を絶対超えない売り方もありますが、注文商品の枠を超え、何かを添えてお客様をひきつけるのもこれまた営業の力です。
注文サービスに添えて、注文の仕様外の分析資料を添えるなど一つの例です。個人の誕生日に「おめでとう!」との声に花束を添えられるとうれしく思うのと同様です。添えるには相手側が「!!」と驚くようなものが望ましいでしょう。添えるものは、先ほどのように分析資料というものであったり、先々のことを見越した参考データであったり、お客様の置かれた状況に即して添えるものを考えたいものです。
6.声の調子に幅をもたせる力
穏やかな調子のいつもの営業トークも、何か決定的な段階では明らかに声のトーンに変化を持たせる工夫です。商品によっては、お客様はごく短期間に購入の決断をします。そのようなタイミングになったとき琴線に触れるフレーズを、声の調子を変えて発することです。
私の例ですと、大きなクレームの処理提案の時でした。お客様が困惑され一緒に何かの解決策を至急見出そうと議論している最中のこと、お客様自身からあるヒントをいただいた時のことです。「それです!それを解決のコンセプトの中心に据えて、処理スキームを至急一緒に練りましょう」と、声のトーンを普段と全く変えて説得し、お客様の決断を得た記憶があります。余り人為的ではまずいのですが、声の調子に幅を持たせ、お客様に訴える力が欲しいものです。
以上、営業人材が身につけるべき力について触れましたが、ご参考になれば幸いです。
人を育てる-営業人材の育て方(1)
私は、残念ながら営業のイロハを最初から体系的に教わったことがありません。現在営業職をされている方々も、大半は私と同様の状況かもしれません。
私自身、いろいろな経験を積み重ねて営業の極意なるものを会得したところがありますが、最初に営業の教育を体系的に受けていれば、もっとスピード感を持って会社の成長に貢献できたかもしれないと、今でも思っています。
営業こそ人材教育がきわめて重要な分野だと私は常日頃考えています。日本の経営者の中には「営業は誰にでもできる」と発想している人が多いかもしれませんが、これは完全に間違いだと思います。
営業の分野で天才的な人は別として、大半の営業マンは教育研修で成長するものだと私は考えています。また、天才的な人々も蔭では相当自己学習に努めて、営業レベルをさらに高める自己努力をしているのだと思います。
私は、CSK(現SCSK)の故大川会長からある会社の経営を託され、この会社を再建、成長・発展させていくため、企画にも専念しました。「顧客満足」、「クレーム対応の理論」や「コールセンター」の概念や、実践手法などを日本に持ちこむ努力をした一人だと自認していますが、会社の業績を上げるに当たり直面したのは、営業のパワー不足でした。
特に気になったのが営業の部下の育成方法です。調べてみると、上司の過去の自己体験でしか指導していないことがわかりました。このことに気づいてからは、営業という仕事に対して特段の力を注いでいきました。
営業のキーとなる人材には、営業同行も含めて自ら指導に当たることもありましたが、時間に制約があります。そこで営業研修の体系化を、営業実績を上げている優秀な部下に委託して作成してもらい、これを毎年レベルアップしていきました。この結果、ある時期になると、その会社の営業マンが競合会社から一目も二目も置かれ、時に、「あなたの会社の営業を一番恐れていました。」と聞き及び、私としては当然の結果だとほくそえんでいたことを記憶しています。
体系化や指導にあたって皆様のお役に立ちそうな部分をここに紹介します。営業として商売をしていくには、以下の力が必要になると考えます。
1. お客様の購入意欲がどの段階かを見極める力
営業活動を一つの流れ(フロー)とみる視点での営業を指導していました。
営業案件をお客様の興味が示した段階から、1月以内に結実しそうなAランク段階まで、A、B、C、Dランクとし、各案件の営業活動を毎月明示させていました。それによってして営業マン本人とその上司が常に状況をリマインドでき、なるべく早くAランク入りを果たし商売を完結するための必要な措置を講じるようにしていました。
個別のお客様が今どの段階にいるかを見極めて、必要な措置を必要なタイミングで講じるためです。この詳細内容は省きますが、ポイントはたくさんの営業案件を持ちながら、なかなか受注までこぎつけない営業マンの存在でした。本人にお客様の購入意欲が今どの段階にあるかを常にウォッチし、購入意欲の段階を見極めるクセが身についていないからです。
一般的に我々は、食・衣に始まって身を守るための住が満足した後、レジャーや観光旅行などに移る習慣が本能的にあります。この習慣に合わせて販売する商品をマッチさせなければならないのと同様です。
上記の場合は、営業マンという売り手の売りたい気持ちのみで、相手側の買いたい意欲度の段階を見極める力を訓練などで教えてもらわなかったのが一因です。
2.お客様に選択をしてもらう力
お客様の購入意欲が高い段階まで来た時に、先ほどの営業マンは受注を急ぐあまり顧客に迫るクセがありました。
言葉こそ厳しくはないのですが、お客様が買うか買わないかを婉曲的に聞く話し方をしているのです。相手からすると迫られている印象をもたれかねません。さらに、今買うべきと、購入を自分の都合で半ば強要するように聞こえることがありました。
非常にまずい営業のやり方です。自分が顧客の立場であれば、自分で選択したいのが一般的です。自らが合理的な判断で決断をしたことを、誰でも自分に納得させたいからです。にもかかわらず、売り手から買うことを強要されたのでは、逆に、お客様は引いてしまいます。
お客様に選択をさせるのです。「このサービスのうちのどれが気に入りましたか?」「業務の開始時期をいつからにしましょうか?来月ならセンターに無理を言って枠を取らせますが、いかがいたしましょうか?」「どのような対応方法を望まれますか?ネット系での対応も同時にしますか?」と、これまでの提案の中からお客様に選択してもらう質問を出すことです。
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