園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

ビジネスマンの成長

あなたはビジネスマンとして成長する定石を知っていますか?(2)

Posted on 2013-03-28

 前回の続きです。

 たくさんの社員の成長を20年間経営者として見つめてきました。結論は、成長のための定石には、その深さの違いがあるとして、それぞれの役職レベルとはほとんど違いがなく、以下の共通点があると個人的には確信しています。

4.知的スキルを身につけることです。

 ビジネスマンがランクアップするに従って全体構造を構築(コンセプト)する力が必要になります。今後、国際的な環境下で仕事をすることもますます多くなります。

 そのため私の体験では、まず、数字力、すなわち、いろいろな事象を皆が同じ土俵で議論できるよう客観的な数字に置き換え、数字で説明できる力が必要となります。

 また、法律の基本的な知識、特に、民法の総則部分や会社法の基礎知識があると実務での判断のよりどころとなり、全体構造の理論的バックボーンが明確になり説得力ある説明につながります。重要です。

 加えて、ITの簡単なスキルも必要です。社内のほとんどの情報がIT化されている現状からすれば、必要な情報に早く近づくにはこのスキルが不可欠です。

 言語、少なくとも、英語を自由に駆使してコミュニケーション出来る力も必要です。世界中どこにいてもコミュニケーションができる状態にあることは、ビジネスマンとしてたくさんのチャンスに得ることにつながります。

5.また、更に自分を磨くことです。このことが人に好かれ選ばれることに繋がるからです。

 自分にとって最大の仲間群である部下との親密な関係をあなたは作っていますか?

 無私の気持ちで部下と付き合う、上下の関係抜きに好かれる魅力、部下からも選ばれる魅力をあなたが身につけることが、あなたの今後の成長に不可欠なことです。もちろん、一緒に楽しみ、悲しむ友人、相談できる友人や仲間が必要です。

 この人たちに好かれるには、相手を知り相手に役に立つための情報力を身につけ、この人と一緒に仕事をしたいと相手に思わせるあなたの共感度が決め手です。また、いろいろなことを調整できる力が欲しいものです。もちろん約束事を守る確たる信念とそれを実行できる基本的な力が必要なことは当然です。

 私の身近にも幸いこのような人がいました。このビジネスコラムのほかの項(2012年11月1日「本物の人間力」)で書いた清水君の例などは明らかにこの範疇です。ご興味がある方は参考に開いてみてください。

6.自分にコントロール可能な部分は何かを見分ける力を身につけることです。

 自分にできることと、できないことを見分ける視点を身につけると成長のための非常に大きな力になります。

 簡単ではありません。問題を発見し上記の視点でものを見ることができるようになるには多面的、長期的で本質を見抜く力と関係、すなわち、本人の成長度と関係するからです。

 しかし、ビジネスマンとして成長した人を見ると、この視点を持って対応・判断している人が多いのを見かけます。

7.次に重要だと考えるのは、自分自身を変革していく力を持つことです。

 自分自身を変革するとは、自分自身が自分の想定を超えることです。

 超えたと思う心理環境になれるのには決意自由度が必要です。自分は絶対に変われるという熱い決意を持ち既存のやり方やルールを一旦疑い、自分で好きに考える自由度が必要となります。

 私は会社再建時に体験しました。この時の自分の行動は、五感とイマジネーションを会社再建に向けてフル動員して自分を「変革できた」と感じたことを記憶しています。

 自分自身を変革していくのは、違う表現を借りると「今を最大限生き」ながらも「変わる」ということになります。通常、一定の結果の得るには、こうしたいという目標を持ち、それを考え方に落とし、行動に移し、その結果を待つのが一般的です。

 したがって、「変わる」には行動を変えるか、考え方を変えるか、こうしたいというアイデンチティーを変えるかしかありません。現実、最大の障害は「・・・をしたら・・・になるのではないか?」との失敗、マイナス面の可能性を恐れてなかなか行動できないものです。それでも、先に述べた決意と自由度さえあれば可能のことが多いと思います。

 これらの五感の感性想像力を駆使して、単に「正しいか、正しくないか」の二面判断のみではなく、非合理的なことも考慮にいれて多少遠回りしてでも自由な発想に沿って考えていくことです。この積み重ねで自分自身が変わり成長していった実感につながります。

 

あなたはビジネスマンとして成長する定石を知っていますか?(1)

Posted on 2013-03-21

 あらゆるビジネスマンが自己の成長を願って、さらに力をつけたいと日々努力をされていると思います。本日はこの力を強化するためにどうすべきかについて私の体験を交えて書きます。

たくさんの社員の成長を20年間経営者として見つめてきました。結論は、成長のための定石には、その深さの違いがあるとして、それぞれの役職レベルとはほとんど違いがなく、以下の共通点があると個人的には確信しています。

1.まず、自分の明確な考え方、哲学、違う言葉で言えば、理念を再度考え直してみることです。

 私の場合も、実質倒産寸前の会社を建て直すにあたって、それまで培ってきた自分の哲学、考え方が、会社の成長にはもちろんのことその後の自己の成長にも非常に役立った実感を持っています。

 当時周辺の会社の苦境を見聞きしていて、私自身一番心が痛んだのは会社の倒産によりその会社に関係していた社員やその家族が非常に不幸な目に合うことでした。生活に困窮して一家離散などにつながることも見ました。

 このようなことが起きないように、経営者として自らを律し会社の成長にすべてのエネルギーを注ぐことを心掛けました。また、「社員を大事に」しながら社員と会社を成長させるという基本的な哲学、考え方を持ち、この考え方を会社のビジョン理念の中に明確に織り込み、それに向かって自己の情熱を傾けていったのです。

 この情熱が以後の自分の人生を積極的に生きるエネルギーにもつながったように思います。

2.考える力を蓄えることです。

 このコラムのほかの項でも「How to」にたけている人よりも、「Why」を考える人こそ重要だと主張しています。

 現在は細かい情報が氾濫しており、ある課題に対してその解答を得るための「How to」は教える人や機会が沢山あると思いますが、思考のルートやヒントを与えてくれる人や機会が意外に少なくなってきてはいませんか?

 人間がレベルアップしていくには、起こりうるいろいろな事象に対して、それを克服するための応用問題を解くことが要請されます。全体構想力(コンセプト力)に関係します。

 また、応用問題を解くアプローチが沢山あり、どのルートを選ぶかの選択力も要求されます。判断のために考えることです。

 ある固有の問題は早く解けるが、違う応用問題に直面した時には解けなくて自己の思考の深さの限界を知ることはありませんか?「さらに、努力しなければ」と、思うことはありませんか?

 個人的には、深さのある回答方法を見つけるルートのほうがその人の将来の成長には望ましいと思います。このようにビジネスマンが考える力を養うことに投資を惜しまない姿勢が欲しいものです。

3.さらに、コミュニケーション能力を早い段階で磨くことです。

 コミュニケーションと表現すると何となくきれいに響きます。

 しかし、その主旨が、伝えたいことを伝えたい、汲み取りたい本当の意見を汲み取るために双方の貴重な時間を費やして行うことを目的としていると考えると、綺麗ごとでは済まされません。

 実態はもっと「人間臭い」ものではないかと思われます。生身の人間同士の話し合いですので、「対話」(ダイアログ)力と表現するほうがその実態に近いかもしれません。

 人間臭い対話(ダイアログ)を成立させるためのビジネスマンの姿勢として私が過去も今も重視しているのは、

  • 日常的に挨拶をすること
  • 上下の身分上の姿勢をださないこと
  • 本気で真剣みを持って、相手も整理された意見を言えないことがあっても、我慢して相手の話を聴くこと。しかも、共感性(Empathic mind)(同情、Sympathyではありません)をもって聴くこと。この同じ目線で「傾聴する力」がポイントとなることを意識すること
  • 会話のやりとりで、双方向性(一方方向でない)に配慮すること、自分が話しすぎないこと
  • 相手の興味を抱くことに話の焦点をできるだけ絞ること、まず相手の話題に集中すること
  • 出来ない約束はしないこと
  • 座り方で対峙する座り方や腕組み、横柄な態度は避けること

 こういう姿勢で対話をすることを習慣としていくと、相手との考え方の違いが浮き彫りになりながらも、真摯に話し合うことを通じて相互の信頼を築くことになります。

 新しいアイデアを相手からもらいながら、自身の考えとミックスすることから共同で新しいものを作り上げることができる喜びも味わいます。

 メールのやりとりでも内容はもちろん伝わります。しかし、問題は話すその瞬間に相手が納得するかです。相手の顔色、言葉に対する反応などを読みながら対話するには、フェーストゥーフェースの対話が望ましいことが多いと考えます。

 さらに、どんな対話でも一回の伝達でその真意が伝わることは、せいぜい10%位。視点を変えて繰り返し話しあうことが臨まれます。

 理由は、相手側からすれば、なぜ、そういう内容の発言になるかの背景が分からない場合や対話する相手側が受信モードになっておらず、当面自分とは関係ないと勝手に推測され、身を入れて聴く気にならない場合があるからです。また、対話する側に相手に刺さるあなたのキーワードが不足している場合もあります。