園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

「経営者」の資質

第274回 経営者のタイプ

Posted on 2018-03-01

 経営者にもいろいろなタイプがあります。

 タイプの背景が、本人の性格によるものかどうか学問的なことは分かりません。しかし、自分なりに整理してみると面白いタイプ分類になりました。

 それが経営行動や経営判断に影響していることが多いので、経営者本人も自己認識すると経営上おおいにプラスになるのではないかと考えます。

 

1.オープン(開放的)か否か

 開放的でどんな状況、どんな課題でも社員などからの相談にのれる、経営者としての考え方を常に開放的に説き、そこから現場の意見を汲み上げるような方法をとるタイプです。これは、営業的センスが高い活発な経営者に見られる場合が多いです。

 既存の考え方にとらわれず、常に新しい良いものを取り入れ、新たな人間関係の樹立も得意、また、自分の事業分野のことのみならず、他の業界や分野、文化、教育、芸術などにも興味を持ち幅広い人脈を作ることが得意で、会社の急成長のきっかけを早く掴むタイプです。

 

2.チャレンジング(挑戦的)なマインドを持っているか否か

 創造力、クリエイティヴィティーに関係します。現在の状況には満足しない。常に、危機感を覚え、それを克服すべく新機軸に挑戦するタイプです。

 常に、走り続ける。ベンチャー企業であろうが大企業であろうが、会社の規模には関係なく、経営者として常に新機軸を施策に織り込みながら会社を引っ張るのが得意です。

 自社の資源との兼ね合いで、挑戦のタイミングを間違えると、経営上大変なことになるので、牽制的役割を担う機能も必要となります。経営者自身、補佐役のアドバイスを受け入れる度量が問われることになります。

 

3.トレランス(耐性)があるか否か

 耐性が高く、いろいろな事態が発生してもそれに対して一定の情緒レベルを維持でき、問題や課題を自分で解決しようとする。短期間の結果の善し悪しに一喜一憂しない、我慢強いタイプです。

 環境の変化にも表層的なことは度外視する。あまりネガティヴに考え過ぎないことを条件に、事の本質を把握して慌てないタイプなので政策の一貫性を保て、社員からの信頼を得やすい。

 これの逆のタイプは、しょっちゅう考え方や経営の軸が変わる、他者に批判的で自己中心的、社員からどう見られているかを常に気にする、情緒が若干不安定になりやすいタイプです。

 決めたことも状況次第ですぐ変更する。他方、社内の摩擦を気にし、ある面では協調性を過度に重視するタイプです。

 

4.シンセリティー(誠実さ)があるか否か

 実は、私が経営者として一番重要視しているのは、誠実性です。私は、このタイプを上記の1~3の上位に位置づけています。

 経営施策の約束事の実践に誠実か、社員に対するいろいろなコミットメントに誠実か、結果として、どんなことがあっても「事業計画」の遂行に誠実な対応ができるか否か。といったことにビジネス上の誠実さが象徴的にあらわれます。

 自分に厳しく、計画的で着実に注意深く施策を進めていくタイプで、集団をまとめていくのが得意です。社員や会社の関係者からの信頼を基礎に持つ企業の風土を築いていくので、組織に絶対的な安定感があり、多少の浮き沈みに対しても会社全体の耐性も強くなる傾向がみられます。

 

経営者の修行

 以上、経営者のタイプを勝手に分類しましたが、これを全て満足に備えている経営者はそう沢山いません。

 要は、経営者自身が自分のタイプを認識して、一つのタイプのみでなく他のタイプの良さを吸収する努力をいかにするかです。いわば、経営者の修行の過程と見做せます。

プロの経営者は自己認識の上、自分を磨く努力を人知れずやっています。

 性格に関係するので本質的なところは変わらなくても、本人の行動のパターンは変えられるところがある、との認識をもっているからです。

 ご参考になれば幸いです。

 

経営者が成功するための条件

Posted on 2014-01-09

 私は、経営者の成功にはいかに良い企業風土を造るかにかかっていることを体験的に知っています。

 ここに言う良い企業風土とは、経営者のためにというより、どちらかと言えば企業集団に参加する社員のためにと考えられたものであることが適切です。

 経営者一人のエンジンで会社を動かすより、多数の社員が「燃える集団」化してそれぞれの社員が自己の裁量で判断し行動するエンジンを、どれだけ多数もっている企業風土となっているかがキーと考えます。日本の経営者の皆様、頑張ってください。

 経営者が成功するには、商製品の革新性は当然のこととして、経営者と社員との連帯感が不可欠です。

 こうなるためには、経営者が社員の共感を呼べる経営哲学、経営動機を持たなければなりません。単純に金儲けをしたい、では社員の共感は得られません。その企業が、社会のためにどんな貢献ができるかを明確、かつ具体的に社員に伝えなければなりません。このメッセージには起業の動機に社会性ありやが問われます。これは経営理念や社是等の言葉で表現されることが多いのですが、ホームページ上や額に掲げられる文言の背後に、どのような真実があるのかが不可欠となります。

 私は経営再建時に、「とにかく会社を倒産させないように」と歯を食いしばって頑張りました。その過程は別の項で述べる機会があると思いますが、社員が「燃える集団」と化していくのがわかりました。経営理念の内容と経営目標を社員と共有したことが負け犬根性の払拭につながり、あらゆる社員が営業をしていたことを思い起こします。

 社長の私は当然として、間接部門、直接部門等関係なく10円の積み上げを行うためにあらゆる発想で稼ぐ行為をしました。また、多様性、ダイバーシティーを重視し、異なる発想を奨励してイノベーションにつなげました。そのことは業界と言われる中で旧態依然たるビジネスモデルを変えることにつながっていきました。

 特に、新しいマネジメントのイノベーションを試み、成功しました。自らが知恵を絞って儲けるためにどうするのかのマネジメントを考えるために、垂直形から平面型、顧客接点多様型にマネジメントを革新したのです。当然、顧客を知ることから出発しなければなりません。本の中に出てくるマーケテイングの格好良い言葉などどうでも良い。要は、顧客が何を欲しているかを肌で感じ知恵を絞らなければなりません。

 小グループ制を採ったことで、グループの長の柔軟な発想を呼び、素早い行動が出来ました。今でこそ当然の方策ですが、小グループ制のもとで、グループの経営をそのグループの長に任せ、マネジメントの自由度を増し、彼の裁量の下に経営できる中間層を育成しました。この規模のグループだと部下の隅から隅まで面倒を見られるので、血がかよった経営につながり、「わくわく元気」な組織になります。