人間関係 / 折々の言葉
あなたは「信頼」されている自信がありますか?
発する「言葉」と「行動」にもとづく信頼関係
原子力のストレステストの実施が管前政権で打ち出され、現野田政権もその方針を踏襲していますが、政権の政策判断に国民にはまったく納得感がないのはなぜでしょう。政権のこれまでの主張と行動のブレが影響し、政府が発信する言葉に信頼性がほとんどないからです。
新しい安全規制値を設定したと言っても、いわゆる「原子力村」の仲間のみで議論した数値とみられ、大多数の国民が「どうせ天下りというメリットを受けるため」の仲間内の判断や「ためにする」決定という印象を抱いているのではないでしょうか。
また、民主党が実行しようと躍起になっている消費税の改定はそもそも国民との約束違反ですが、それを半歩譲っても消費税増税の合理的理由が、国民の間には半煮え状態でしか伝わっていません。この件に関しては、われわれに「自分たちは税金で国を支えている主権民の一人である」という認識が欠如しているところにも原因があります。「一身独立して一国独立す」と福沢諭吉は説いていますが、国民の自主性、主体性がないところに国のレベルアップはありえないという趣旨、が胸にグサリと刺さります。
そのような国民側の意識と行動にも課題が多いとしても、政府が参議院を通過させようと躍起になっている増税に納得感を感じている国民が少ないのは何故でしょうか?
「信頼」からくるリスペクトこそ運営のキー
要は、政治の責任を持っている人と国民との間に信頼関係がないことが問題なのです。
そのような背景があるところには、政策決定事項へのリスペクトは生まれにくいものです。今や、これらの政策自体に加えて、国民の間では民主党の議員個々人に対するリスペクトまでが失われてしまっている状態を、どう考えるかです(注、私は特定の政党とは一切関係ありません)。
企業で言えば組織内の上下の信頼関係です。
今年の初めに書いた「これからの社長の仕事」で私は、「農耕型企業風土」づくりで企業を中期的に発展させる「フォーミュラ」を打ち出しました。この「フォーミュラ」を、企業を成長・発展させるための評価プログラムに今回仕立て上げていますが、上司の発する「言葉」と「行動」にもとづく社員との信頼関係が、このプログラムの中で一つのキー要因となっています。
信頼を勝ち取るためには、うわべだけの約束でなく、社長が「自分は本当にこう思う」ことを本心で語ることです。どこかの政治家のように、上辺だけの言葉を仮に発するとすれば、それはすぐ偽物と部下に見破られます。
目標実現に向けて社長が社員を叱咤激励したり、社員を厳しく叱る場面も時には発生します。
また社員も、社長や幹部に対して苦言も含めた意見をどんどん言っていくこともあるでしょう。それぞれの立場が彼らにいろいろなことを言わせることがあります。けれども、双方が「自分はこう思う」と真実を本当に吐露する「場」があるならば、理解が深まります。この相互作用でその企業が正常に発展していくのです。心の上に着ている洋服を取り除いて裸で話し合うことで、叱って指示する社長と意見を言う社員の双方に、互いに対するリスペクトが生まれてきます。
聴く耳を持ち、相手の話を聴き、約束を遵守し、本心で対話をする努力をすることで、経営層と社員の一枚岩が絵に描いた餅でなく、実質的なものになっていきます。
しかし、たとえどんなに小さくても「言葉」や「行動」に嘘や約束違反があれば社員はそれを簡単に見抜き、一挙に信頼関係に齟齬が生じることを、くれぐれも忘れないでください。「小事大事」と私も常に心しています。
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