折々の言葉 / 語り継ぐ経営
第220回 問題の本質を捉える
最近、あるところで問題が発生しました。当事者は解決のために真剣そのものです。しかし、私からするとよくある事象で、客観的にみると面白く興味深いことです。人間の解決パターンがどうしてこうも同じようになるのか。
ある事象の課題の解決をしようと努力している場面での想定です。
1.何か問題が発生したので、皆で事実情報を集め分析しようと努力しました。実に正しいアプローチ。しかし、事実の捉え方が不十分でした。知ったかぶりをし先輩づらをした人の意見が、さも事実かのごとく反映されてしまい事実が曲解され、そのうえで分析されてしまいました。当然、その後の策も本質を外すものとなってしまったのです。
これは、よくあるパターンです。そうならないようにしようというほかありません。しかし、実際問題はさらに複雑です。
2.事実分析をもとに仮に戦略に活かそうとするには、事実を集めただけでは駄目なのです。誰かの直感や洞察力がモノを言います。そうしないと、個別の問題は解決しても全体最適にならないからです。事実から何かの原因を見つけてそれに対応しようとしても、一般的にはいろいろな因果関係が絡み合う関係があります。良かれと思った一つの策が、他へ大きなマイナスの影響を及ぼしかねません。これの関係を大枠洞察する力が必要となります。
しかし洞察力を持った人ばかりではありません。ではどうする。
3.これを解決する一つの方法は、「問題を正しく捉えなおす」ことです。たまたま目についた部分だけに取り組んでいないか。問題を自分なりに捉えなおし、いろいろな仮説をもとにシミュレーションをしてみる。問題を、よく言われる「ゼロベース」で捉えなおすことで正しい解決策を見つける方法です。
4.ゼロベースとは、一切の既成的な概念や発想を除外することです。しかし、これは至難の技。ただし、同様な問題が発生した過去に遡る方法はとれます。仮説の検証をするのには、あまり無理な相談ではありません。過去にさかのぼって検証してみると、問題の根本原因は意外に企業体質にあることがかなりの確率であり、根源的原因がここから発生していることが分かります。その会社の利益も管理方法も企業体質にしみついているからです。
これまでパッチワーク的な解決をしてきたが限界があることや、解決として結構常識的な策が多かったことも分かります。これで初めて本質に迫れます。
5.したがって、体質を変えることが近道です。問題は、何をすれば体質が変えられるか。野菜をたくさん食べれば体質が変わる。これほど単純ではありませんが、対応方法次第で一部解決できます。これは他のコラムで触れることにしますが、簡単に言えば、人間ががんばるのでなく「遊び」を入れ、自主的に楽しく仕事ができる、しかも、皆の利益還元を考える。この方法を考えることになるのではないかと考えます。
Related Posts
関連する記事はありません