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第153回 事業発展の経営手法(1)

Posted on 2015-04-30

 経営アドバイスをしていると、意外なことに気づきます。事業の発展段階が違うのに、それに相応しい経営をしていないことです。どこかで聞きかじり、発展段階が違うのに、それをそのまま自分の会社の経営に取り入れる愚を犯していることです。結果として、成長のスピードを遅らせています。

 そこで、今日は、(I)長年赤字続きの会社、(II)黒字だが更にその幅を大きくしていきたい会社に絞って、経営者がすぐに取るべき策のヒントを提供したいと思います。

 

(I)長年赤字続きの会社では

 このような場合、社員の士気も内実は低いはずです。それにも拘わらず、第三者にそう見られないために、無用なカモフラージュをしているかもしれません。

 大事なことは、早く黒字転換することです。黒字化すれば銀行からの資金の導入も楽になりますし、社員の士気も上がります。そのためにどうするか。

 

1.本当の強みを真剣に探り、事業のターゲットを絞る

 自社の本当の強み、魅力は何かを、徹底して探ることです。

 「あなたの会社の強みは何ですか?」と質問をすると、返ってくる返事は教科書に書いてあるような、仰々しくお定まりの文言のことが多いです。しかし、このような答えに、私は納得しません。その会社の人々が、伝承で勝手に強みだと思い込んでいることも多いからです。 そして早晩、更に業績が悪くなる傾向が強いです。

 上司から伝え聞いた自社の強みを、そのまま鵜呑みにせず、顧客の声を聴き、顧客の本当の声を集めてください。赤字続きの会社は、この部分の分析が弱いことが多いです。顧客がなぜあなたの会社から商品を買っているのか、会社側の論理での思い込みでなく、顧客があなたの会社の何に本当の魅力を感じているのかを真剣に知らなければなりません。

 それを知れば、それにターゲットを当て絞れば良いのです。いろいろな策で時間とカネを使うのは愚の骨頂だと思います。だから赤字が消えないのです。

 私は、よく『「差異化」をはかりなさい』と指導することが多いのですが、それは顧客が感じるあなたの会社の魅力に、あなたの会社の全エネルギーを注ぐことを意味しています。

 

2.「売り」に焦点を当てた情報提供

 最近は、購入側が最初にアクセスするのが会社のホームページ(HP)であることが多くなりました。従って、これの設計を軽んじ、過去のデータの更新がなされず、なんとなく情報を流しているように見られるHPは、大きなマイナスです。また、HPを見ると、何でもかんでも掲載している会社があります。総合的なデパートにしています。

 前段で述べた論理の通り「売り」に焦点を当てた最新情報の説明になっていなければなりません。赤字段階の状態にある今、会社の顧客はあなたの会社にデパート的なものを求めてはいないのではないでしょうか。あなたの会社のHPを通じて、「差異化」された特別なものがあなたの会社にあるかを捜していると思います。

 その意味で、もし会社自身の説明が焦点をぼやかし総合陳列的な説明になっているとすれば、早期に策を打つべきです。

 

3.単純な「仕組み」つくり

 「仕組み」の単純化が必要です。

 赤字会社に限って、やたら社内の仕組みが複雑なことが多いです。単純な作業なのに、これを省力化せず後生大事に継続しています。単純作業は代替可能なのに、他の人がタッチできない「仕組み」のまま、時間が過ぎています。これでは本来の効率が出ていなくて当然です。無駄なコストをかけて、赤字に貢献していることになります。

 最初は抵抗があっても、毎期の計画を達成するために、受注に至るプロセスを管理でき、売り上げとコストを正確且つ迅速に把握でき、しかも、社員全員にこの同じ数字が「見える」状態にすることです。

 フォーマットも簡単な、しかも、本質的なことのみ押さえるフォーマットにして、それを下にマネジメントしていくことで、生産性が確実に上がります。上司が部下に指示する内容そのものも変容してきます。上司が人に仕事を託す意味も分かってきます。

 

4.世間体は一切忘却

 「○×会」、「○×クラブ」などの入会肩書や世間体を気にしないことです。そのような余裕はないはずです。

 経営者自身が見栄や体裁を捨て去り、社内の黒字化、できればその先の戦略にのみ時間を費やすことです。そのためにも顧客に回商することを最優先し、顧客があなたの会社に魅力と感じることの作戦に頭と時間を使うべきです。

 

 

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