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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

会社や商品の差異化――「ウリ」を考える

Posted on 2014-09-18

 真似をしたくない営業部長のセリフの一つは、「兎に角、x件回商しろ。名刺をx枚もらって来い。」の言葉と、これを実践に移した竹やり戦法的営業スタイルです。

 皆様の周囲にはこのような営業部長がいないことを切に望みます。要するに、彼には「何故?」と自社の商品特徴を根源的に考える工夫が不足しているのです。

 

やるべきこと 

 その言葉を発する前に、会社の幹部たる営業部長としてやることがあるはずです。

 それは、自社の営業の差異化を如何に考えるかに関係しています。別の言葉で言えば、自社の「ウリ」をどう考え、普段の営業に生かすかです。

 自社の強みとなる「ウリ」を社内や部内で徹底的に深掘議論をし、顧客が選び購入する理由を探し出すことです。その「ウリ」を更に磨く工夫を、全社的に押しすすめることが営業部長の任務として先決です。自社の中・長期的成長につながる重要な事柄だからです。

 「ウリ」の要因を探し出せば、顧客がその商品を選んでくれやすいので、冒頭の「兎に角、x件回商しろ。名刺をx枚もらって来い。」といった発言が、意味ある言葉として営業マンに伝わったはずです。自社の「ウリ」に気づいた営業マンが、顧客が「選ぶ理由」を得る立場から「伝える」ために回商し、名刺交換をすることにつながるからです。このことを失念している幹部がいるとすれば、部下に代わってその幹部に猛省をうながしたいです。

 

「ウリ」に関する質問

 差異化の浸透度合いをみるために、「あなたの会社の『ウリ』を1分で述べてください」と、相談を受けた会社の営業マンに、私は必ず問うことにしています。これに即答できないのは、営業マンが自社の商品の「ウリ」を本当の物と心底思っていないか、若しくは、営業マン自身に訓練不足がある場合に発生します。

 前者の場合は社内の議論が深まっていない証左で、より深刻です。結局、営業マンが自社の「ウリ」を自信を持って説明できないので、顧客獲得にあたり価格競争に陥る憂き目に会いやすくなります。

 

「ウリ」の深掘

 それでは、「ウリ」をどう見つければ良いのでしょうか。負けない商品、サービス、技術などをどう見つけることが出来るのでしょうか。 それは、自社の強みにテーマを絞って社内で徹底的に議論する中から探し出せます。

 他社に負けないNo.1商品や技術、どこにもない地域初、日本初のOnly One商品や技術を自社の中で捜索してみることです。私の経営体験では、どの会社でも必ずこれを見つけだすことが出来るはずです。普段はマンネリ的視点で内部の人が観るので、「どうせ自社には・・・」となりやすいのですが、「ウリ」は意外なところにあるのです。

 それは、ある部分に関しての比類ない技術力かもしれません。心が魅かれる感動的なストーリーを体現できるモーチベションプロセスかもしれません。社内に浸透している誇り高き「理念、哲学」かもしれません。これをもとにした「企業風土・文化」かもしれません。

 なんでもよいのです。議論を重ねていくと、意外や意外、「ウリ」の候補群を見つけだすことが出来ます。その中からまず二つくらいに絞り、それをある視点でマトリックス分析し、最後の一つに絞り込むのです。ここに深堀された「ウリ」を見つけだすことが出来ます。

 一般的なコンサルテーションでは、その会社の弱点に光を当てやすいのですが、私のアプローチは逆です。強みを更に強くすることを薦めています。特に、中小の企業では限りある資源で経営していますので、弱点だらけのはずです。その中でも強みを探し出し、これで勝負を賭ける。そのために強みを更に強化して自社の「ウリ」につなげることで、逆に弱みの一部をカバーできることがあるからです。

 

「伝える」ための工夫

 「ウリ」は顧客に広く伝えて初めて選んでもらえるものです。従って、顧客に選んでもらえるためには何かの工夫が必要となります。特に、会社を創業した最初の頃は、このための工夫が大事です。

 それは、自社の「ウリ」の商品や機能を、

 ・ある一人の実在する人を思い浮かべ、

 ・その人がその商品をどう具体的に利用するかをイメージし、

 ・その人がその商品のどこをどう評価するのかを徹底的に解析する、

 ところから始めなければなりません。

 このようにピンポイントで考察しないと、「伝える」イメージが絞れず、まず上手く伝わらないからです。漠然と顧客をイメージしたのでは、「ウリ」の切り口自体が迫力不足になるからです。

 

 以上に述べたことに関連する事象は、いろいろなところで発生しているはずです。皆様、自らの経営、マネジメントを今一度振り返ってみてはどうでしょうか。自社の強みや差異化に新たな気づきが生まれ、そのことで、皆様のこれまでの経営やマネジメントに変化をもたらします。

 

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コメント1件

 松下信武 | 2014.09.18 22:49

実在する人物をイメージし、その人がどのようなイメージをするのかを考えるというやり方はとても有効だと思いました。コーチングでも、具体的に、深く考える人は実行力があります。

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