ビジネスマンの生き方 / 折々の言葉
したたかな生き方(2)
前回の続きです。
実質倒産寸前だった会社の経営を託された過程で、私は雑草の生き方と自分の経営方針に共通する何かがあると感じて雑草が好きになりました。そしてその生き方から、世の中の変化や逆境をどうやって味方につけビジネスマンとして生きるかの知恵を学ぶことになりました。
逆境を味方にする生き方
第一は、目的志向です。
目的が明快です。花を咲かせ、次につなぐことを目的とします。雑草は1年草ですから、寿命が短いです。でも短いが故にタネを残すまでに不測の事態が起こるリスク期間は少ないです。ある意味で1年草はもっとも進化した植物かもしれません。
会社経営で仕事のサイクルを短くして成功のサイズを小さくする、小さな目標、目的を確実に実現し積み上げて結果として大きくしていく志向に通じます。
第二に、分をわきまえることです。
どこで勝負をするかをわきまえています。先ほど述べたタンポポやオナモミはサボテンなどの育つところでは勝負しない雑草です。サメが沢山泳ぐような大海では勝負しない経営に似ています。
第三は、環境適応力です。
我々が食べるイチゴなどの作物は不適切な条件では余裕が無く、花が咲かず実がならないこともありますが、タンポポなどの雑草は不適切な条件であっても環境に合わせて体の大きさを変えてでも対応し、間違いなく春に花を咲かせます。
ビジネスもしかり。自分の商品を買わない方が悪いという発想でなく、環境の変化に適応していく力です。
第四は、No.1になる努力です。
自然界ではどんな生物でも自分がNo.1にならない限り長期的には生き残れないようです。沢山の植物が一つのニッチに住むのは結構難しいようです。そこで生き残って自分がNo.1になるために、自分に適したニッチな場所(生息領域)を何が何でも探す必要があります。そういう環境を探して生き、勝利した方が更に強く生き残れるからです。
翻ってビジネスの世界では、一つのニッチにたくさんの競争者がひしめき合っている状況を見ます。もっと、自分にしか適していないニッチな領域を探せばよいのに、と思いませんか?ここに知恵が必要となります。
第五は、タイミング、時を読むことです。
タンポポやオナモミの成功で一番重要なことは発芽のタイミングです。これらの種子は、時期が来るまで土中で準備しながらジッと発芽のタイミングを待ち、チャンスと見れば一気呵成に芽を出します。種子は光が当たることで芽を出します。タンポポは道路のアスファルトの割れ目であろうが光が当たる場所でタイミングを待って一気に咲きます。オナモミも山野の光が当たる場所を探し、時期を待って咲きます。
ビジネスしかり。人を得て、状況が良くても、時を得ないと勝負に負けます。経営の才の一つはこの「時を読む」ことにあります。
第六は、忍耐力です。
これらの草は踏まれたら立ち上がりません。地面に伏せています。彼らにとって最も大切なことは花を咲かせる目的を達成すること、その後タネを残すことです。環境に合わせて変化します。踏まれたときに立ち上がる無駄な努力をしません。ビジネスマンも耐えて目的を達成するまでこれぐらいの忍耐力を備える姿勢でないと本当の経営者に成長はしません。
第七は、Going-Concernの精神です。
雑草は、毎年必ず咲きます。忘れたころに花が咲く感じがしますが、これは人間がそう思うだけで、雑草自身はこのサイクルで毎期種の生存を続けています。ビジネスマンにもこのマインドを持って次の期へバトンをつないでいく努力が要請されます。常にこの準備をしていく必要があります。
ビジネスマンの生き方
ビジネスマンにも多様な生き方があります。大木として生きる、雑草として生きる。どちらを選択するかは、もって生まれた運命、置かれた環境、能力等色々影響すると思いますが、最後は、本人の考え方次第です。どちらが幸せか、これも自分の生き方をどう全うできるか否かにかかっています。この瞬間の積み重ねではないでしょうか?
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