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人間中心の経営 / 折々の言葉

「因縁」づくりの努力をしていますか?—嶋口充輝先生の挨拶より—

Posted on 2012-05-10

2012年2月29日に東京で行われた私の「出版を祝う会」で、嶋口先生(前法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授、慶応義塾大学名誉教授、公益法人日本マーケッテイング協会理事長)ご挨拶をいただきました。とてもありがたく拝聴しましたが、皆さんのご参考にもなると思いご紹介させていただきます。

社員を大切にした、人中心の経営

「園山さん、おめでとうございます。そして、園山ファミリー、といいますか、園山ステューデントといいますか、素晴らしい皆さま、本日は本当におめでとうございます。

私はベルシステム24で園山さんが社長をしておられたころにお目にかかって、その時、「よくここまで園山さんが若い人たちと一緒にやるな!」、と不思議に思っていましたが、この度書かれた新しい、素晴らしい本を拝見して「なるほど!」と分かって、また本日ここにきて再び「ああ、あの時と同じだ!」とそう強く思いました。

園山さんの素晴らしさは誰もが知るところかと思いますが、私も園山さんとのお話を通じていろいろと勉強させていただいてきました。そしてまた、今回出版された「これからの社長の仕事」の中身を読ませていただいて、「そうか、そうか、なるほど」とひとつひとつ納得しながら勉強させていただきました。

園山さんの思想は、農耕型企業風土をつくる、そのためのフォーミュラがあって、社員を一番大切にして人を中心に経営をしていく。そして18の定石」をしっかりやっていけば、みんな良い会社になるというものですが、まさにその通りだと思っています。

私が少し前にベルシステム24に出社させていただいていたころ、感じていたことが二つあります。一つは、業績がどうしてこんなにいいのだろう、といつも不思議に思っていました。もう一つは、その業績のよさの根源は社員の喜々とした姿にあって、それは園山イズムに裏打ちされているのだということを強く思っていました。そして今回、本を拝見して改めて「なるほど」と思った次第です。

 「社員を大切にする」、という園山さんの考えと同じようなことを、だいぶ前にもう亡くなったある経営者から聞いたことがあります。経営の世界では「人・物・金・ノウハウ」という言い方をしますが、その方がおっしゃるには「嶋口さん、違うんですよ『人物が金(きん)』と読むんですよ。そしてさらには『人物がノウハウ』なんですよ。」と。

園山さんの本を読んで、改めてその考えを、まさに「その通りだ」と思った次第です。今日、ここにお集まりの皆さんは、まさに園山さんに育てられ、その影響を受けた方ばかりだと思いますが、とても素晴らしいです。

天台宗、山田恵諦さんの「因縁」について

天台宗のトップ、山田恵諦さんという方がいらっしゃいましたが、この方が「因果と因縁」という話をしておられ、これが私にとって大変興味深い話でした。今回、園山さんの本を読んで、改めてこの「因縁」というコンセプトがまさに園山イズムのベースなのだと感じました。

どういうことかと申しますと、園山さんはアメリカに留学された経験があり、非常にアメリカ的な教育を受け、合理的な考え方もお持ちでいらっしゃいます。アメリカの経営の考え方は、どちらかというと「因果」の考え方-原因があって結果が生まれるという、ストレートな答えを反映した経営をしています。つまり、よい製品をつくれば売れる、優秀な人がいれば会社が成長するのである、といった考え方です。

それは、基本的には正しいことなのですが、山田さんのいう「因縁」とは少し違って、原因は一つでも、実際には全く違う結果になる、というものです。具体的には、たとえば葉っぱが枯れて木から落ちる、すると地面に届く。万有引力があるのでそうなると、「因果」という考え方ではそういうことになりますが実際にはいつもそうはいかない、そこに一陣の風が吹いたとすると、その風によって葉っぱは全く違う方向にいってしまう。

「縁」のかかわりによって、結果をまったく違うものにしてしまう。因果社会というよりも因縁社会だと、山田恵諦さんはそういう言い方をされていました。

人間中心の「因縁」づくり

園山さんの著書を読んでみると、まさに因縁づくりを、人を中心にしてやっていらっしゃるな、とそう思いました。よい縁があれば、よいサービスやよい商品があれば、会社が成長するのだということがはっきりわかる。園山さんはそれを把握した上で経営をしてこられたのだな、と思いました。

園山さんは、何かまた新しい事業をするのではないかと期待しています。ぜひ素晴らしい経営をなさっていただきたい。そしてまた素晴らしい人生の後輩をサポートしていただきたいと思っています。どうぞますますお元気で。本日はおめでとうございます。

嶋口先生の鋭い観察力に感服しながら、ご挨拶に聞き入りました。後日、先生からご自身の著書、「顧客満足型マーケテイングの構図」(有斐閣)を送って頂きましたが、その本のP190に山田恵諦師の「因縁」のことが書いてある旨の先生のメモが、挟んでありました。

「善因善果」となるような縁をつくりたいと考えて経営をしてきましたが、縁、関係性によって「善因悪果」もあり「悪因善果」ともなりうることに、先生の著書を拝見して改めて気づきました。

「祝う会」に集まったメンバーを見ながら、「会社を『わくわく元気』に変革きたのも『人間中心』にした『因縁』づくりの経営が成功したからかもしれない」と思った次第です。

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