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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

第187回 企業が生き残るために(1)

Posted on 2016-01-21

正月、家族からプレゼントされた『植物は「知性」をもっている』という面白い本を読みました。植物には競争する植物と競争しない植物がいることが紹介されており、植物社会が人間社会よりある意味で進んでいることを知り驚きました(本件については追って採りあげるかもしれません)。

ところが、我々が生活しているビジネス社会では、残念ながらこうならないのが常です。ほとんどの私企業は競争関係の中で生きています。何とか「生き残る」こと、しかも「成長して生き残る」ことを考えるのが一般的です。

 

成功する企業の特徴

この競争社会で生き残っている成功企業を見ると、いろいろな特徴があります。

私が過去に経営を託されていた会社でも、多かれ少なかれ以下に述べる特徴を持ち合わせていました。まずこれらの特徴をしっかり把握することが、皆様が関係する会社の次の成長に役立つと思い、本年最初にこのテーマを数回に分けて取り上げます。

 

1.個人のみで創造性を高めようとしないで、グループや集団の力を結集して創造性を高めています。

工場勤務、事務所勤務などの勤務環境を問わず、ほとんどのビジネスマンはある種の知的な労働をしています。知的な仕事をしているこれらの人々の努力を、どう特定の方向のエネルギーに結集できるかが、企業の発展にとり肝心なことは異論がないと思います。

そのためには、コミュニケーションを良くしやすい環境が最低限重要なことです。物理的環境、仕事を受け渡しやすい環境、人間関係の環境、自由に発想できる環境、チャレンジしやすい環境などです。

かつて私はトップ営業の機会に或る金融機関の頭取の部屋に案内されましたが、その時の印象を今思い出しました。大きな部屋に応接と執務の机が無機質にあるのみで、その環境は全く孤独で、創造性とはほど遠い印象を受けました。この環境は人を圧する権力を誇示することはできたとしても、ここで創造性を発揮する仕事はまず無理だと感じました。

適度な大きさの部屋で、皆が侃々諤々議論できる物理的な環境や、人間関係の良さが企業の成長には必要だと常に思っています。個人の力のみならず、集団の力を結集すべく、コミュニケーションがとりやすい環境づくりが、成長の第一条件です。

 

2.小グル-プを単位として権限を持たせて仕事を進めています。

大きな集団では、変化にマッチした新しいことが生まれにくいのが一般的です。自分が商店主の意識こそが一番創造力を生み出します。小さな集団では、意思決定権を分散でき、組織の機動力を高め成長力を高めることにつながるからです。

私もこの発想で伝統的なピラミッドの組織構造を廃止し、小さなグループを沢山作りました。グループ長と名付けた層に現場の全権を与え、決定権を委ねることで、知恵を働かす習慣が彼らにある時期から出てきました。一般社員にも責任と自由度を大きく与えることにしました。

この発想には対抗勢力が当然反対も出てきました。

既存の権力構造の上にいた幹部や社員です。しかし、彼らも胡坐をかいて権力を誇示するのが精いっぱいで、新機軸を打ち立てる力や余裕はありません。片や、責任と自由度を与えられた層からは、新しい製品、商品を企画できる力、競合と一線を画す商品を打ち出すパワーが湧いてきました。まさに実績で勝負があったことが証明されました。

 

3.折れ線グラフ的に一気に大きく飛躍しています。

毎年少しずつ成長している会社は、普通の企業です。

私がコンサルタントをしている或る会社の社長も、「これだけ成長した」ことを誇りにしている人がいますが、私には不満です。私の経営尺度からすると、全く成長不十分です。

マーケットに影響を及ぼすには、一気に成長することが必要です。従前の倍々位のスピードでのスケールアップするくらいの勢いが不可欠です。特に、コンピューターでの処理能力が破壊的なスピードで成長し、インターネット接続環境が様変わりになってきたこと、そこからの得る沢山の情報を利用できる環境、新技術が距離を益々短くしていること等の現実からしても、倍々の成長スピードが実現できるチャンスがあることをお分かり頂けると思います。エネルギーを貯え、折れ線グラフ的に一気に成長出来るチャンスがあります。

勿論この成長過程で資金や労働力などの不足が生じてくることもありますが、それはリーダーの仕事です。アンバランスを埋めるためにリーダーが担うべき戦略策定の仕事が動き出すことになるのです。

 

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