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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

海外でのビジネスこそストレスに強い人材を(2)

Posted on 2015-02-05

前回の続きです。

ビジネスチャンスを活かすには

 では、その地域で各会社やビジネスマンがチャンスをどう活かしていくかです。

・他の項でも書きましたが、前提として、会社として俊敏な動きが出来なければなりません。いざという時にすぐ行動に移せるように、マイナス資産などは早期に切り捨てて自社の資産内容を身軽にしておくことです。海外で展開するからこのことが肝心だというわけではありませんが、特に、海外でのビジネスには動きを制約する要因を少なくすべきです。私の友人などの会社では、不良資産を整理して資産を優良な流動資産に集中させ、海外での投資活動をする体制を整えているほどです。良い案件があれば俊敏に動くためです。

・経営者の思考も、自分の任期中の業績のことのみを考慮した短絡的なパターンを海外展開に持ち込まないことです。短期的な利益を上げるために人員削減で乗り切っている経営手法は、まさに短絡的施策の代表です。むしろ南の地域のマーケットでは、人員を上手く活用して現地にマッチした新しいことを創造しようとする積極的なマインドが望まれます。

・勿論、新しいことをするにはリスクがつきものです。特に、このような南の新興の国では、日本でのビジネス・リスクの想定を超えるリスクも多くあります。このことを前提にビジネス選択、パートナー選択などを適正に終えたら、次は、小さく着手して試行錯誤し、状況を読みながら次へ果敢に進むことをお薦めします。ビジネス企画の試行錯誤を繰り返し、企画を実践に移したらPDCAサイクルを早く回して取捨選択のレベルを上げ、新しいビジネス機会を逸しないことが、このような地域でのビジネスの成功の秘訣だと思うからです。

 

ストレスに強い人材

・上記のような点を踏まえながら、まず人材の準備、生産のための原料の調達、販路の開拓などいろいろな準備をしなければなりませんが、ポイントは人材だと考えます。このため、リーダーとなる人材を送り出す企業側で、普段から内部人的資源の強化に努めておかなければなりません。

 ストレスにも強い自律型の人材が必要となりますので、普段の仕事場でこのような人材が育つ環境を整えておく必要があります。現地ではストレスが確実に大きくなるからです。困難な状況への適応力、それに伴うストレスからの回復力、災害時の復元力、これらが強くなければ現地での競争に勝てません。

 例えば、統制でなく仕事の魅力をつくり、自由に仕事をさせ創造マインドを持たせる。社外との垣根を取り外、しノウハウの交流を通じて視野を広くさせる。プロジェクトを本当に任せ、結果に責任を持たる。国際的な非営利団体への貢献のための参画など本来の業務とは別のことにも取り組ませ、幅広い経験をつませるなど、多少のストレスがあってもこれを自らの知恵と判断で克服でき、自分で考え自分で課題を解決できる幅広い識見を持った人材が育つ環境が必要です。このような環境でこそ、自律的なリーダーとしての心構えと行動力が備わってきます。当然、彼の仕事への対応のし方も変わってくるはずです。

 

現地の慣習に溶け込む

・現地に派遣されたそのリーダーは、異なる環境や文化に遭遇することで価値観の多様性に気づきこれを高められるメリット、更に、違う考え方の組み合わせで新しいアイデアをものにできるメリットを享受できるかもしれません。

 しかし、同時に彼が留意すべきことも沢山あります。

 商売のやり方、慣習も違います。日本では当たり前と思うことが、当たり前ではないことに遭遇します。イベントなども日本でのやり方をそのまま持ち込むのは危険です。現地向けにカスタマイズしなければなりません。日頃から現地の社員と緊密な関係を持ち、商売のやり方、イベントの方法なども現地に合わせたやり方に修正する知恵を備えなければなりません。

 ストレスが溜まると、「どうせ分かってくれない」とすねて、自己嫌悪に陥りやすい傾向がでます。これが自らと現地の人との壁を作ってしまいます。そのようなことを回避すべく現地に溶け込むことが先決です。一般的に、日本人はあまりプライベートなことを話したがらない傾向がありますが、溶け込む工夫のために、現地の社員に自分や家族のことをオープンに話し、現地の人の習慣に入り込んで壁を失くすなど、小さいことでも結構ですので、自分のありのままの姿を分かってもらう努力をすべきです。

 

いざという時の準備

 日本の優秀なビジネスマンが地球の南側に機会を求めていくのは、制度や労働人口などのデータ上、自然の成り行きです。この地域で思い切りぞんぶんに仕事をして成功していただきたい。そのため、ビジネスマン諸氏、今の内からストレス耐性を強くして、いざという時の準備をしていただきたいと考えます。

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