折々の言葉 / 経営
組み合わせによる切り口とプレゼンテーションでの留意
最近ある方から、会社の中で新しい独立した事業を立ち上げる計画を伺いました。彼女の長年の経験とノウハウを活かして立ち上げるその事業、是非成功してもらいたいものです。出版で言語教育の分野に進出する由。話の成り行きから私にコメントを求められたので、新しい切り口をアドバイスしました。競争の激しいこの分野、「切り口に新鮮さが必要です。」と。
私も若い頃に外国人とビジネスをする必要がありました。その時の経験から、「決してきれいな英語を話す必要はないです。むしろ、つたなくとも、話す内容、プレゼンテーションの方法などがビジネス上重要で、新しく立ち上げる事業の切り口をとがらすために、何かの組み合わせを考えられたらどうですか?その方がビジネスマンにとってうんと役立ちます。」と、日頃思っていることを率直にアドバイスしました。
この場合、語学とプレゼンテーションの組み合わせとなります。あくまで道具としての英語教育を推進する企画で、新しい切り口となるかもしれません。英語を学びながら、プレゼンテーション力を高めるというビジネスでの実務的な手法も学ぶことになり、一石二鳥になると、勝手に考えています。
ここで本題のプレゼンテーションの課題に戻ります。
私も戦略や方針を社員に説明するにあたり、体験を通じて効果的なプレゼンテーションについて学びました。どうしても独りよがりの説明になりやすく、しかも聞く相手の人が「理解してくれて当然」という発想から出発していたことを反省しています。この体験と反省から、最近では、次のようにアドバイスをしています。
1.プレゼンテーションする本人が構図の核を鮮明に描き、本心でそう考えていることが大前提です。
まず話すことの全体の、構図、すなわち、スケルトンが鮮明になっていなければなりません。話す内容の重みが違います。
また、他人の言葉の受け売りでは無理です。心に刺さりません。プレゼンテーションの内容の出所は別なところにあったとしても、本人が本心でその内容に賛同して、本人もそう考えていることがまずもって不可欠です。
2.話すテーマを最大限2~3つに限定する。
人間の記憶には限界があります。
特に興味を覚えてもらい、記憶にとどめてもらうには、それくらいが限界です。ところが、話す側は言いたいことをすべて言いたいとの思いから、どうしてもテーマが多くなりがちです。盛り沢山の話題では、かえって焦点がぼけてしまいます。
3.短い言葉、しかも相手にインパクトを与える言葉を使うことです。
1987年、私も会社を建て直すために今後の戦略的取り組みを「六つの約束」として社員の前に呈示しました。
この第一番目が「5年以内の上場」。短いフレーズで、インパクトもありました。
今の時代と違って、この頃は上場会社で働くことが一種の社会的ステータスにつながっており、社員にとって大きなメリットがありました。会社としても、社会的認知を得ること、人材の確保、資金需要対応ができるとして、当時はメリットがありました。
4.相手に分かりやすい言葉を使う。
専門用語は使わないことに努力をしていました。それでも、カタカナ用語が多いと批判を浴びたほどです。なるべく平易な分かりやすい言葉を使うのが鉄則。知識を鼻にかける人や、見下される危険を感じる人は、それを隠そうとして専門用語を多用する傾向があります。相手に伝わってナンボの世界であることを忘れてはなりません。
5.目をあわせ反応をみる。
沢山の聴衆の前でのプレゼンテーションは、時に困りものです。目の焦点を合わせる機会が少ないからです。
しかし、話していくうちに、自分の話を真剣に聞こうとする人を聴衆の中から見つけることができます。このような人と時々目を合わせて双方向性の雰囲気を自ら演出するのです。聴く人の興味度を測るのと、自分自身のモーチベションを上げるためでもあります。
6.最後のまとめをする。
聴く人のなかには、最初に聞いたことと、最後の話がどうつながるかに迷っている人もいます。
そこで、そもそも今日の話の主題はなんだったのかを相手の立場からまとめてあげることで、聞く人の頭が整理され、結果として、あなたの話が通じ易いのです。
以上のことは、日本語だから、英語だからといった言語の違いを問いません。相手によってジェスチャーを入れる等のボディーランゲージに少し違いがあったとしても、以上の留意点を踏まえれば、本質的にはプレゼンテーションで大きな失敗をすることにはなりません。
今回は、たまたまある人の新規事業の話を聴きましたので彼女にアドアイスしたことを思い出して、プレゼンテーションにあたっての留意を述べました。
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