折々の言葉 / 経営理念
「おもてなし」のマネジメントコンセプト
東京オリンピックの招致成功以来、「おもてなし」という言葉がいろいろな場所で使われています。ある時は本来の意味通り、ある時は少し皮肉っぽく使われているようです。
それはさておき、この言葉-本来の意味では-私が好きな言葉の一つです。
西洋流に言えば、ホスピタリティーとなるのでしょうか?でも、少し違和感があり、やはり「おもてなし」という響きの方が私にはすんなり入ります。
「思いやり」、「もてなす」ことを前面に出す考えで、相手を利する行為、しかも、それが努力してというより、自然にそうなるという感じで、本来、日本人が大切にしてきた生活習慣の一部です。単なる利他主義的行為とは、少し考え方が違うのではないかと思います。
「相手のためを思う自然な行為」だとすると、マネジメント的には科学的な説明がつかない部分が相当あります。また、自社を利して、成果のみを求める成果主義的考え方とも相容れません。したがって、この意味での西洋流の発想でマネジメントすることとは、少し趣を異にするマネジメント手法ではないでしょうか。
この発想のマネジメントをしていくには、「もてなす」考え方を経営理念や行動指針など、社員の現場での具体的行動を、すべてこの考え方で一貫させていくことが不可欠です。お互いに助け合い、相手に利する発想をもとに、Win-Winの関係を作ることを会社の隅々まで徹底することになります。
日本には、特定の旅館やホテルだけでなく、企業経営の中にこの考えを取り入れた会社があります。会社を良くしていくために、相手、即ち、顧客や取引先を第一に利する。その結果として、自分の会社や社員も、さらに利益の分配にあずかることのできる理念をもった会社です。私は、そのような会社をもっと見たいと思っています。
短期的な利益や物的な豊かさより、会社の持続的な発展を目指す。キーは人に置き、人への投資、人への教育や指導を怠らない考えの会社は、私の主張する「農耕型企業風土」づくりの考えと一致しています。組織は人と人の集合体であることを念頭に置き、人の持つ「人間らしさ」を大切にしていくマネジメントです。このような会社では、満足した社員が、必ずや顧客が満足するサービスで「おもてなし」すると、私は確信しています。
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